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激しい後悔
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どうやら、このストーリーはとある男女が意味もわからず、変なイカれた奴に拉致られて、よくわからない廃屋にいるという設定のようだ。
俺が操作するのが女性のほうで、ルイは男性。
まあ、性別によって違いはないだろう。
主人公たちは、机にあるハンドガンをとり、脱出のためにその部屋から出た。
暗くて、いかにも出そうな廊下。
それに、地味に流れてくる音楽が怖さを増長させる。
もう、部屋から出なくていいじゃんよ…
どうせ、外に出たら居るんだろ、分かってるよんなもん……
俺は、身を縮こませておもちゃの銃を握る。
もちろん、ルイを確認するほどの余裕は俺にはなかった。
寂れた廊下を主人公たちが静かに歩いていくと…
ギシッ…………
上のほうで木の軋む音。
まさかまさかまさか………
嫌な予感。
カメラワークが上に向き…………
「なあぁぁぁぉあああぁぁぁぁ!!!」
椅子の振動と同時に上から降ってきたゾンビが極限までクローズアップされた。
グロい!
キモい!
怖い!!!!!!
「いやあぁぁぁあぁぁぁぁ!!!」
俺は、言葉にならないような奇声をあげながら、とにかく銃のトリガーを連打する。
その一体が死んでもなお次々とゾンビが湧いてくる。
もういまの段階でやばい………
怖すぎる。
体力は減ってないのに、画面左上の俺の心臓メーターはすでに真っ赤である。
リアルでもう心臓バクバク。
それに、たぶんすでに涙目だと思う。
とにかく怖すぎ。
あり得ない。
こんな中を果敢に進んでいく主人公の気が知れない…
誰だこんなの作ったやつ。
やだ…
もう、やめたい…
俺は、当たってるのかもわからず次々出てくるゾンビたちを無我夢中でうちまくる。
自分の弾の補充の仕方もわからずに。
なのに、次々と敵は倒れていく。
どうやら、ルイが全てヘッドショットで倒しているようだ。
あぁもう、早く終わらせたいのに…
俺は失神寸前になりながらも、そのゲームを進めていった…
すると、先ほど出てきたゾンビと違い、盾を持った体躯のいいゾンビがあらわれ、ポインターがつく…
いかにもボスって感じでグロさが増している。
やだ…
もうやだ。
それ以前のところですでにに嫌なのに、ボスとか絶対無理。
ボスは、盾で身体を守りつつ、伸縮性のある触手で攻撃してくる。
触手とかもうやだ!!!!
体力がどんどん削られる。
どうやら、盾を二人で打たなければならないらしいが、俺の銃には今だ弾が補充されていないわけで…………
うわぁぁぁぁぁぁぁ!!!!
心の中叫び声をあげる。
二人して体力を削られていき………
どうにかゲームオーバーになることが出来た……
怖かった…
マジ怖かった。
もう絶対やるもんか。
死んでもやらない。
そんな失神寸前の俺に気づかないルイ。
「楽しかったね。ねぇ、隼人?」
ぷちん。
俺の中で何が切れた。
「何処がだ⁉︎ただ、怖いだけだろ、こんなの!なんだ、この無駄なリアリティ!マジで死ぬかと思った!ふざけん…な……!」
言葉の途中から我慢していた涙が次々と零れる。
うわ、やばい…
でも、なんか止まんない…
俺は、零れ落ちる涙を手で拭うが、止まらない…
そんな俺に見かねたルイは、俺のこと抱きしめ、頭を撫でた。
暖かい温もりが俺を包む。
「ごめん、隼人…」
優しい声のトーンに俺は胸に顔をうずめる。
「馬鹿………」
俺は、ルイの心臓の音を聴きながら、落ち着くまでそうしてもらっていた…………
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