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辛い過去 〜1〜
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暗い。
冷たい。
寒い…………
俺と陽(よう)は、その辺のゴミ捨て場から拾ったボロボロの毛布に包まり都会の片隅で夜を過ごしていた。
俺と陽は、同じ孤児院の出身で、つい数日前にその孤児院が閉鎖され俺らは何も持たないままに追い出された。
なんでも、借金が払いきれなくなったらしかった。
突然、黒服の男たちが押しかけてきて、家から閉め出されたのだ。
だけど、俺らはまだ10歳。
もちろん、孤児故にしっかりとした学もほとんどなかった。
都会に放り出されたとしても、働き方もしらない。
盗み方すら知らない子供だった。
たったの数日しかたっていないのに俺らの空腹感はピークに達していた。
それに追い打ちをかけるかのように、コンクリートからの冷たさで体温が奪われていく。
「なぁ、陽、俺らどうなるのな。」
俺は、曇った瞳で空を眺める。
空は今にも雨が降りそうな厚く暗い雲が覆っていた。
空気が更に冷たくなるのを感じる。
死にたくない。
ずっと、陽といたい。
離れたくない。
陽がいなかったら、俺は………
陽は、俺と同じ境遇だった。
人と違い、傷の治りが異常に早いという理由で親に捨てられた。
ーーーーー化物ーーーーーーーーー
そう呼ばれて、俺らは育ってきた。
だから、自分たち以外に味方なんていない。
いつでも、一緒にいた。
それだけで、心に大きく空いた穴が埋まっていく気がしたから。
「郁也、大丈夫。どうにかなるよ。」
陽は優しく羽で触れるかのように俺の頭を撫でる。
もう、冷えきった手のはずなのに太陽で照らされたように俺の心はほんのり暖かくなっていた。
陽がいればそれでいい。
俺は、そのときそれだけ考えていた………
この後の残酷な運命も知らずに………
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