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苦手な注射
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「じゃあ、これで本当に最後。」
吸盤を全部取り終わると起き上がろうとした俺を制してそう言った。
そして、持ってきたのは銀色のトレー。
なんか、嫌な予感…
案の定出てきたのは、長い針の付いた注射器…
うわぁ…
やっぱり。
「大丈夫、すぐ終わるよ。」
嫌というのが、そのまま顔に出ていたのか海斗さんは優しそうな笑みを浮かべてそう言った。
吸血されるのには慣れたけど、ちゃんとこうやって採血するのには慣れてない。
てか、採血した記憶がほとんどないし。
俺は、壁とは反対側の左腕を伸ばして、なるべく見ないために壁のほうを向いた。
頭の上のほうで小さい笑い声が聞こえてきたが、俺はひたすらに壁の一点をみつめた。
それほどまでにいやだったのだ。
ヒヤリ。
アルコールの脱脂綿と思われるもので肘の裏側を拭かれ、スッとした刺激が肌をなぞる。
背筋に悪寒が走る。
これは…
来る…
そして、少し間を置いてから、針の鈍い痛みが伝わった。
「っつ…」
覚悟していたよりは、痛くなかったがやはり変な感じはある。
それから、カチャカチャと何かを変える音がする。
それが二回ほどあってから、俺の腕から針が抜かれた。
ふっと身体の力も抜けるのがわかる。
「大丈夫?気分悪くなったりとかは?」
海斗さんは、心配そうにこちらの体調を伺う。
特に、貧血になったりはないし、具合も悪くない。
ただ、少し痛いけど…
「大丈夫です。特に何も。」
「そっか、ずっと目を逸らしてたから少し心配だったけど。なら、よかった。じゃあ、とりあえず、着替えておいて、検体おいたら、また戻ってくるから。」
海斗さんは、さきほど持って来た銀色のトレーを持つそのまま部屋を出て行ってしまった。
俺は、素直に上の服を着て待つことにした……
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