アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
3.言えない気持ち
-
**********
「中森」
「えっ……あ、どうしたの?」
点呼の後、部屋でくつろいでいると、突然栗原に声をかけられた。栗原から話しかけてくるなんて珍しいから、少し驚いてしまう。
だけど、素直に嬉しかった。僕が荒川さんからの日々の凌辱に耐えているからこそ、こうして栗原が話しかけてきてくれるのだ。僕の気持ちが栗原にばれていたら、そうはいかないだろう。
「お前大丈夫か」
「えっ? 何の話?」
思わず聞き返す。栗原は少し……いや、かなり言葉足らずなところがある。恐らく、栗原が誤解されやすい原因はそこにあるのだろう。僕も、栗原の言葉を勝手に解釈して話を進めると、大抵会話が噛み合わなくなる。それくらいは、栗原と同じ部屋で暮らしたこの1ヶ月半で学んでいた。
「中森の体調と精神状態」
栗原は僕の目を真っ直ぐに見ながら言った。まるで、僕の様子をしっかり観察しようとしているみたいだ。心配、してくれているのだろうか。
確かに、僕の精神状態は決して良くはなかった。
やはりというか、荒川さんはあれからしょっちゅう僕を呼びつけて、僕を好きにした。今日も、10時に荒川さんの部屋に来るように命じられている。
荒川さんのことを考えると毎日なかなか眠れなくて、疲れも溜まっていた。
「……大丈夫だよ、心配しなくても」
けれども、栗原にそれを訴えるわけにはいかない。
僕は栗原の心配を否定したけど、気まずい沈黙が生まれてしまった。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
23 / 87