アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
4.裏切りと怒り10*
-
荒川さんとの行為の間だけは、辛い気持ちを忘れられる。荒川さんに理不尽な仕打ちを受けていることすら忘れて、乱れることができる。
だけど今夜は1人だ。希望の絶たれた栗原への想いを、1人で抱えなくてはならない。
失恋は、思っていたよりもずっと辛いことだった。叶う見込みのない恋だと自分に言い聞かせてはいたけれど、実際に見込みがなくなることとは大違いだ。
泣きたい。それでも、泣くわけにはいかない。栗原を裏切ったのは僕のほうだからだ。けれども、弱い自分に嘘を吐くこともできない。このままでは壊れてしまいそうだった。
だけど僕は、あらゆる苦しみから逃げる唯一の方法を知っている。1人じゃないほうが良いけど、1人でもできることだ。それは不本意にも、荒川さんに教わったものだった。
荒川さんが帰ったときからずっと下半身は剥き出しだったから、そのまま自分のベッドに四つん這いになる。足の間から左腕を通すと、指先は荒川さんに散々開発された箇所になんとか届いた。
こういうときは、快楽に逃げるしかない。
「ん……ぁっ……」
入り口に指先を添えるだけで声が漏れる。
「栗原……っ」
栗原の名前を呟くと、人差し指がぎゅっと締め付けられた。それでも構わず、欲望のままに指を進めていく。痛みは全く感じなかった。
そしてある場所で、僕は指を曲げる。
「あ……ぁっ、あっ……!」
そこはいつも荒川さんが執拗に責めてくる、僕の1番気持ち良い場所だった。
栗原のことを考えながら、荒川さんの指の動きを再現する。僕が抱える矛盾がこんな行為にまで現れていた。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
47 / 87