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4.裏切りと怒り16
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「嘘だ……」
「本当だよ」
それなのにどうして、栗原はそんな悲しそうな顔をしているんだろう。そんなに僕とするのが嫌だったのかな。
「だったらなんで泣くんだよ……」
「えっ……」
すぐには信じられなくて、僕は自分の頬に触れた。少しだけだけど、そこは確かに濡れている。
だけど、認めてはいけない。認めてしまったら、きっと僕は栗原に何もかも話してしまう。今だけは、何も考えてはいけない。
「大丈夫、だよ……」
そう自分に言い聞かせているそばから、声が震えた。
失敗だった。涙が止められなくて、僕は栗原の前で泣き始めてしまった。
「う……うぅっ……」
「中森……」
一瞬だけ、栗原の腕が僕を抱き締めようとする。だけどその腕はすぐに降ろされた。
どうして? 僕のことが嫌いだから?
それとも、僕のことが好きだから?
「俺、お前が荒川さんと……その、セックスしてるの見たとき、すごく腹が立ったし、ショック受けた」
それはそうだ。僕のことなんか、嫌いになっただろう。
「でも、今のお前を見てたら、少し考えが変わった。何か俺が想像できないようなことが、中森の中にはあるんじゃないかって」
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