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5.裁かれる想い
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僕は全てを栗原に話そうと、覚悟を決めた。ここまで来たら、もう戻れない。
結局は、助けを求める勇気すらない、僕の臆病さが事態を悪化させていたのだろう。たとえ嫌われるのが怖くとも、もっと早く栗原に助けを求めていれば、こんな酷い目に遭うことはなかったのかもしれない。
だいたい栗原は、いつも仏頂面で無愛想なくせに、実はとんでもないお人好しなのだ。僕の気持ちを知ったからといって、簡単に僕を切り捨てるなんてできやしないことくらい、予想できたはずだ。
……なんて、きっと今だから言えることなんだろうな。もしタイムマシンがあって、荒川さんに犯され始めたころの自分にアドバイスしに行けても、そのころの僕はきっと信じてくれない。
「中森……話してくれるんだな」
「うん」
栗原は緊張しているのか、膝の上で拳を握り締めた。僕がどんなに重い話をしても受け入れられるように、栗原も栗原で覚悟を決めているのだろう。全てを話す覚悟を決めた僕のように。
「僕が荒川さんと関係を持ったのは、今日ーーいや、もう昨日かなーーが初めてじゃないんだ」
栗原の覚悟を無駄にはしない。
僕は4月からの7ヶ月間、荒川さんと僕の間にあったことを洗いざらい話した。
4月、入寮初日に、荒川さんに話しかけられたこと。最初だけは、荒川さんがとても優しかったこと。
それから少し経った頃から、荒川さんに身体を触られるようになったこと。
後期に入ると、栗原への気持ちが荒川さんにばれて、それを脅迫材料に関係を強要されたこと。最近は、暴力で支配されて完全に屈してしまっていたこと。
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