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5.裁かれる想い9
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「最近栗原とばっかり一緒にいるだろ。飯も風呂も、学校に行くときも……」
荒川さんが怒っている。もう逆らうことはできない。そんな諦めが僕の中を満たしていった。それが、荒川さんを怒らせるということなんだ。
「栗原の奴、よくも俺の悠生を……!」
僕の背中が壁につくと同時に、荒川さんが僕の耳の横の壁を殴った。その顔は怒りを通り越してむしろ憎しみに歪んでいる。
でも、 よく考えたら当たり前か。僕は荒川さんに襲われないために、いつも栗原と一緒に行動していたんだから。僕に接触しようとした荒川さんが栗原を邪魔に思って、嫉妬する可能性くらい、容易に想像できたはずだ。
そんなときに、余計なプライドから勝手に単独行動をして、栗原の思いを無下にしてしまった。僕は救いようのない馬鹿だ。
「悠生、まさかお前、栗原と付き合ってるんじゃないだろうな?」
ついに荒川さんが決定的な質問を浴びせてきた。その通りだなんて言えるはずがない。いくら僕が馬鹿だとしても、その後どうなるかくらい分かる。
だけど僕は、すぐに否定できなかった。真実に気づき始めた荒川さんに気圧されて何も言えなかったのだ。たとえ嘘でも、否定すべきだったのに。
誰だって、好きな人が他の人と恋仲になれば穏やかではいられない。でも、相手は荒川さんだ。ただ怒りや嫉妬を露わにするだけで終わるわけがない。
「悠生……」
また暴力を振るわれる。そう思って僕は身体をこわばらせた。
だけど荒川さんは僕の身体に触りもしなかった。それどころか僕から離れ、机の引き出しを開けて何かを取り出した。
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