アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
5.裁かれる想い11
-
僕はもう、栗原に抱かれてしまった。嫌いな人ではなく、好きな人に触られる幸せを知ってしまった。
また荒川さんに抱かれて、そんな身体で栗原と向き合うなんて死んでも嫌だ。
「悠生……?」
「あ……これは……その……」
慌てて自分の手を押さえつけるけど、もう遅い。
僕は荒川さんの頬を思い切り叩いてしまっていた。荒川さんが僕に暴力を振るうのと同じように、僕も荒川さんに暴力を振るってしまった。
どうしよう、怖い。荒川さんがどんな報復をしてくるのか、怖い。
「す、すみません……!」
僕はひたすら謝り倒した。もうこれ以上痛い思いや苦しい思いはしたくない。要するに平謝りは僕が生きるための行為なのだ。
その行為が報われたーーというわけではないだろうけど、荒川さんは一度ため息をついたきり、僕をどうもしなかった。それでも荒川さんの表情は怒りや憎しみを多分に残していた。
「…………きっとお前は栗原に毒されてるんだな。でも安心しろ。すぐに綺麗にしてやるからな」
優しく囁かれたその言葉の意味が、最初は分からなかった。だけどその意味は、数秒後に頭ではなく身体で理解することになった。
「う……っ」
突然、強い吐き気に見舞われる。僕は口を押さえ、こみ上げるものを必死に堪えながらトイレに向かった。
ドアノブを捻って、まずは廊下に出ようとする。だけどこの段階ですでに僕はつまづいていた。荒川さんは部屋に鍵をかけているのだ。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
65 / 87