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5.裁かれる想い12
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鍵を開けようと必死になっているうちに、荒川さんが僕に近づいてくる。そして僕の真後ろに来て、僕のみぞおちの辺りをぎゅっと抱きしめた。ちょうどそこに拳が当たるように。
そんなことをされたら、堪えきれなくなる。
「うぇ……え……っ」
反射的に手で器を作るけど、そんなもので間に合うはずもなかった。なんとも言えない色をした吐瀉物が床に垂れていく。
「げぇ…………」
「ここに出していいから」
荒川さんはコンビニの袋を差し出してきた。一瞬迷ったけど、手に溜まった吐瀉物をその中に捨てる。
まだ、気分は悪い。手に吐くよりはましだから、差し出された袋は素直に受け取った。その直後、僕は更なる吐き気に襲われた。
「……うっ」
袋を持っていなければ、きっと大惨事だっただろう。口を開けるだけで、苦いものが大量にこみ上げてきた。
「ぅごぇ……っ、げぼ……」
まるで,こうなることを初めから知っていたみたいに,荒川さんは驚きもせず僕の背中を擦っている。
袋に胃液を吐き出しながらでも気づくことができた。これはさっきの妙な液体のせいだ。
「はぁ……はぁ……っ」
「……これで……これで悠生の中から栗原はいなくなったか…………?」
荒川さんは譫言のように意味の分からないことを呟きながら、確認するように僕の顔を覗き込んできた。
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