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6.今度こそ、秘密の手紙4
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「中森……!」
栗原が顔を真っ赤にして驚く。そういうところは、やっぱり前の栗原と変わらない。
「栗原が何を思い悩んでいるのか知らないけど、僕はそう簡単には栗原のこと嫌いにならないよ」
「いいのか……? こんな自分勝手な俺で……」
「どういう意味?」
栗原が自分勝手だったところなんて何も思い浮かばない。帰ってきてから栗原は何か気にしている様子だったし、僕は素直に尋ねることにした。
「あの時俺、お前を助けに来たはずなのに、それを忘れて、お前を奪われそうになった怒りをあいつにぶつけてばっかりで……結局お前のこと傷つけた……」
言わなくても分かるだろうと思っていたのか、栗原は少し困ったように言った。罪悪感が大きいのか、さっきから僕と目を合わせてもくれない。
あいにく僕は栗原の罪悪感なんて知ったことじゃない。どちらにせよ、僕とは恋人同士でいてくれないと嫌だ。
「栗原『で』いいんじゃない。栗原『が』いいんだ。だから、少しでも栗原が僕のことをまだ大切に思ってくれてるのなら、僕の側にいてほしい」
「中森、俺……っ」
「んっ……!?」
不意に、唇を奪われる。それはほんの一瞬だったけど、触れ合った唇は信じられないほどの熱を帯びていた。栗原からこんなに強く求められたのは初めてだった。鼓動が一気に速くなって、溢れる幸せを心で受け止めきれない。夢を見ているような気分だ。
それは栗原も同じなのかもしれない。頬は紅潮し、僕の肩に置かれた手は震えている。
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