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21話【S心とM心】
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この世界には色々な音が飛び交っている。車の音、鳥の鳴き声、風の音、とにかく色々な音が飛び交っているのだ
その中でも俺が一番好きな音は格汰の音だ、格汰の声はもちろん、格汰の寝息、格汰の足音、そして抱き締めてくれる時に聞こえる格汰の心臓、これらを聞いている時が俺の幸せな時間だ
まぁ、そんな事を話しといてなんだけど今
音葉「俺は凄い不快な状態だ」
不良A「あ"?」
音葉「不協和音を聞いている気分だよ」
不良B「は?不協和音ってなんだよ」
音葉「隣り合った音を同時に奏でると、とても不快な音になるんだ、今それを聞いている気分だよ、俺は」
不良C「は?なめてんのか?ぶっ殺すぞてめぇ!」
音葉「こういう音を奏でる人間はやっぱり好きになれない」
ご察しの通り絡まれています。それにしても9話で話した通り、一人一人音を持っているわけで、この人達と俺の音は隣り合っているわけで
※それにしてもじゃないです
不良A「わけ分からねぇ事ばかり抜かしてっと殴るぞてめぇ!」
不良Aが腕を上げた瞬間その後ろから手が伸びて不良Aの手を掴んだ
格汰「俺の音葉に何してるんだ?お前ら」
そうそう、今日は格汰デートする日だったんだ。それで待ち合わせをしていて、不良に絡まれて、格汰が助けてくれて、不良達が逃げ出して、今、俺は格汰に抱きついている
音葉「あ〜幸せな音が聞こえる…」
格汰「なぁ、なんで不良に絡まれてたんだ?」
そう言うと格汰は音葉の頭をポンポンと叩き、ハグをやめて歩き始める、音葉もそれに着いて行く
音葉「うんと、曲を聴いてたんだよ、そしたら絡まれた」
本当にびっくりした
格汰「あ、カツアゲか」
音葉「いや、謝れって言われた」
特に覚えがないけど
格汰「あ?曲を聴いてただけなんだろ?」
音葉「そうなんだよ、曲を聴いてて〜4拍子で手を振っていてピークの時にあいつらが来て〜顔に当たって〜」
グヘッって声が聞こえた、とても不快な声だった
格汰「おう、理由はわかった、今後4拍子する時は指だけにしような?」
音葉「え?3拍子は?」
格汰「3拍子も!」
食い気味で注意されてしまった…
音葉「でも曲を聴きながら手を振るのは幸せな時間なんだ、それを奪うのは残酷だぞ」
指じゃ物足りないものがある
格汰「でもそれで今日不良に絡まれたんだろ?それに目の前から手をクネクネした人が歩いてきたら怖いだろ?色んな意味で危ないだろうが」
そうか、確かに危ない…え?
音葉「俺は危ない人?」
格汰「不良と肩を並べるかもだな」
音葉「ん〜普通では〜」
格汰「ない」
また食い気味に
音葉「なんかショックだな…」
格汰「でもお前、この前自分で自分はおかしな人だって言ってただろ」
ん?あ〜
音葉「言ってたね、じゃあ大丈夫だ」
格汰「だろ?まぁそう言う少し変わってる所が俺は好きだけどな」
全く格汰は嬉しいこと言ってくれるな〜
音葉「俺も筋肉バカな格汰好きだよ!」
格汰「喜んでいいのか怒っていいのか分からねぇなそれw」
音葉「ん?馬鹿にされてるんだから怒るべきだと思うよ?w」
格汰「やっぱり馬鹿にしてたかこの野郎!」
格汰が音葉に軽くヘッドロックをかける
格汰を少し怒らせると軽くプロレス技を掛けてくる、俺的には密着出来るから怒らせたくなるんだけど
格汰「おい、ギブか?ギブすれよ」
こう言い出すと少しづつ力を入れてくるから
音葉「ギブギブ!」
全然痛くなくても痛くなるのが嫌だからギブをする、すると勝ち誇った顔で俺を毎回見てくる、俺はこの顔も好きなんだけど、この顔を見ると悲しくもなる
音葉「乱暴だな〜直ぐプロレス技を掛ける」
格汰「プロレス好きだからなw」
そう、イチャつくためじゃなくプロレスをしたいだけなのだ。俺が球輝君みたいに体が丈夫なら一緒にプロレスをして遊ぶ事も出来るだろうが俺がやっちゃうと
格汰「音葉もプロレスやろうぜ、楽しいぞ?」
音葉「やだよ、最初のお決まりの取っ組み合いだけで死ぬよw」
うん、確実に死ぬ、手首を捻られたり、あの張り手?とかで俺は悶絶するだろう
格汰「その後が本番なのにwww」
音葉「よく痛い事進んでやるな〜って思うよ、確かに技を掛けてる側は楽しいかもだけどやられてる側は楽しくないじゃん」
Mじゃないとあの痛みは楽しめないと思う
格汰「そうでもないぞ?痛いとか痛くないというか、戦ってると燃えてくるんだよ!技を掛けてると気持ちいのはそうだけど、技を掛けられてる時も負けてたまるか!って思うし、なんかな?スカッとするんだ、色々と」
音葉「ふ〜ん、曲を弾いてるのも楽しいけど誰かが弾いてる曲を聴いてるのも気持ちいのと似てる?」
格汰「あ〜ごめん、よく分からないけど似てるんじゃねぇか?」
音葉「そうか、なんとなく分かったよ」
格汰「お?」
音葉「S心とM心、両方が擽られるスポーツなんだね」
格汰「おう、プロレス関係者が黙っていられなくなる言動は止めろ、後今の会話の中でその答えが出たのなら音楽の中にもSとMが生まれてしまう」
音葉「うん、あるよ?演奏者は”ここが良いんだろう?”と言わんばかりに弾いて、聴いてる側はそれで気持ちよくなっちゃうんだから」
格汰「色々と危ない会話になるからここら辺でやめようか」
音葉「え?あ、そう?」
格汰「おう、丁度デパートに着いたしな」
音葉「本当だ」
そうそう、今日はデパートデートをする為に歩いていたんだ、途中どこに向かっているのか忘れていた
格汰「ごめんな、金があればもっとデートっぽい所に行けたんだろうけど…」
音葉「いいよ、俺は格汰と一緒に居れれば何処だって良いんだから。それにデパートデートだって立派なデートだよ?お互い好きな物見てゆっくり出来るから楽しいじゃん」
格汰「そうか?ならいいけど」
音葉「うん、今日は楽しも!」
格汰「おう!」
〜雑貨店〜
格汰が小物を持っているとより一層小物をが小さく見えるな、手が大きいからな格汰は
格汰「どうした?ずっと俺の手を見て」
音葉「いや、手大きいな〜って思って、俺の顔の大半覆えるんじゃないかな?ww」
格汰「どれ」
そう言うと格汰は音葉のほっぺを手で覆う
格汰「本当だ、できたw」
格汰の手、温かい…落ち着くな、ずっとこのままでいたいな…
まさかの沈黙に恥ずかしくなった格汰は顔を赤くして手を引いてしまう
格汰「つ、次の店に行こうぜ!」
格汰はそそくさと店を出て行く
格汰は可愛いな照れちゃったのかな?俺は幸せだった
二人は楽器屋に行く、すると店員である田中さんが向かい入れてくれる
田中「音葉君、お久ぶり。今日も一曲弾きに来てくれたのかい?」
音葉「いや、今日はデートで来たんだ」
田中「あ、デート中だったか、それなら仕方ないな、諦めるよw」
音葉「売上落ちてるの?w」
田中「うなぎ登りの真逆だねwドジョウ下りだよwww」
音葉「そんな言葉ないよwww」
田中「今作ったからねww」
ここの店は昔から気軽に演奏させてくれるから力になりたいな〜
音葉「格汰、ちょっと一曲していい?」
格汰「俺は全然いいぞ?寧ろ大歓迎だ」
田中「え?良いのかい?ありがとう、音葉君が弾いてると不思議と客が来るからね」
音葉「さ〜て今日はどれくらい呼べるかな〜www」
音葉がキーボードで演奏すると店の外を歩いてた人達が店の中に入って来る
格汰「やっぱり凄えな〜」
ここに集まってくれた人達が音楽に興味を持って何でも良いから商品を買って欲しいな、そうだ、鈴木さん達を呼ぼう
迷える音楽家達よ、今ここに集結せよ…!
鈴木「呼んだ?」
格汰「あ、鈴木さん!他の人達も」
田中「本当だ、鈴木さんだ」
格汰「え?あなたにも見えるんですか?」
鈴木「やぁやぁ、こんにちわ」
音葉「鈴木さん、自由にやっちゃってよ〜あの時みたいにwwそしたらきっと客が来ると思うんだ」
鈴木「おけ〜成仏しない程度に楽しく弾かせてもらうわwww」
音葉と幽霊達が演奏をした後、店の中で曲を聴いていた客の大半は音葉の願いが届いたのかなんらかの商品を買って店を後にした
田中「ありがとう!いや〜鈴木さん達も来ると思わなかったよwwwお客は上手く誤魔化したけど、本当の事を知ったらきっとビックリしてただろうね」
音葉「そうか、鈴木さん達を呼んだ後の事を考えてなかったww幽霊が弾いてるってバレたら売上下がってたかもねww」
田中「そう言うカラクリをしていたって、苦し紛れを言っておいたよwwそうだ、動くピアノのバイトをしないかい?夜に来てコソコソ演奏するよりも人に聞かせたいだろ?」
鈴木「あ、バレてた?www」
田中「このデパートの七不思議の一つになってるよww」
音葉「良いじゃん、やれば?」
鈴木「俺的には嬉しいけど音葉くん的には好きな時に俺達を呼べなくなっちゃうよ?」
音葉「いいよ、鈴木さん達の人生に介入する俺じゃないよ」
鈴木「とか言って俺たちの成仏たまに邪魔するじゃんwww」
音葉「それは…なんか寂しいし、もし成仏してあっちで演奏できなかったら可哀想だな〜って思ってさ?」
鈴木「まぁ音葉君のお許し出たし、やらせて頂きますわww」
田中「ありがとう、じゃあ明日からで良いかい?」
鈴木「もちろん!」
田中「じゃあよろしく!音葉君はまたいつか気が向いたら来てね!これ、これお駄賃ね」
二人は店を後にする
格汰「その券2万円毎に1枚貰えるやつって書いてあったぜ?w4万円の仕事したって事だなwww」
音葉「いつもは一枚なんだよ?デートって言った甲斐があったなwww」
格汰「言ってたよなwでもあの店員さんは良い人だな、デートって言ったら諦めようとしたじゃん、売上だけじゃなくて音葉の事も考えてくれたんだなって思った」
音葉「昔からここで演奏させて貰ってたからね、実はここでキーボードを弄ってて音楽の楽しさに気づいたんだ!」
格汰「そうなんだ、英才教育を受けた的な事ではないんだな」
音葉「うん、うちは好きな事をしなさいって言う家庭だからねwあの店を通る度にキーボードで遊んでたらお父さんが買ってくれたんだ。それで、もっと音楽が好きになって、今に当たる」
格汰「あそこは音葉にとって大切な場所なんだな」
音葉「うん、あと鈴木さんと街で会った話はしたよね?その後あの店に行って一緒に演奏して仲良くなったんだ、だから本当にあそこは大切な所」
格汰「だからあの店員さん鈴木さん達のこと見えていたんだ」
音葉「田中さんって言うんだ、あの人は本当にいい人だよ、昔から優しいし今日の食事代浮いたしw」
格汰「そだなw」
二人はトレーニング器具がある店に行く
音葉「俺絶対こういうの持てないよ…」
格汰「10キロくらいならモテるんじゃねぇか?」
音葉が試しに10キロのウエイトを上げようとするが全然上がらない
格汰「本当にこういうのダメなんだなwでも重い楽器とかあるだろ、そう言うのは断念してるのか?」
音葉「いや?俺に弾けない楽器はないよ?」
格汰「あれは?音葉の部屋にあった、あのデカイラッパのやつ」
金管楽器って言わないところが可愛いなw
音葉「チューバの事かな?」
格汰「それは何キロなんだ?」
音葉「10キロ位かな」
確かそれくらいだった
格汰「それは弾けるの?」
音葉「もちろん、持って行進だってできる」
格汰「じゃあこれも持てるじゃねぇかw」
音葉「だってこれは楽器じゃないから…」
持つ気になれない、こんな重そうな物
格汰「楽器ならモテるのかよwじゃあ持って演奏しなければならない100キロの楽器があったらどうするんだ?」
考えたこともなかった、今の俺の筋力じゃそんな楽器持てない、でも弾いてみたい
音葉「その時は筋トレする…」
格汰「じゃあそういう楽器を誰かに作ってもらおう、そしたら音葉と一緒に筋トレができるようになる」
音葉「そんなにやりたい?俺と筋トレ」
格汰「好きな人と好きな事を一緒にやったらきっと楽しいと思うんだ」
好きな人…//確かに格汰と一緒に演奏したら俺は幸せな気持ちになるかもしれない
音葉「じゃあ俺と今度一緒に演奏してくれたら、チョットだけ…チョットだけ筋トレしてあげる…」
格汰は満面な笑みになって音葉の肩を掴んだ
格汰「本当?本当か!?やる!やろうぜ!約束だからな!」
そう言うと格汰は音葉を抱きしめた
格汰の匂い、格汰の温もり、格汰の心臓の音…俺は今幸せだ、ずっとこのままでいたい、ずっと俺を抱きしめてて欲しい…ずっとこの時間を…
END
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