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親しくなる Ⅱ
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一人恥ずかしさに慌てていると、言われた方はキョトンとした顔をしていた。
コイツ、頭ちょっとユルいのか、とも思っていたが、友だちとして何度か会ううちに、そうではないことがよくわかってきた。
リョウは、とにかく他人に興味がないのだ。他人からどう見られているか全く興味がないからこそ、向けられる好意にも無頓着で、オレが口説いても全く気づきもしなかった。
オレだけでなく、他の奴に口説かれているところも目撃したことがあったが、そもそもあまり他人に近寄られるのが好きではないらしく、露骨に逃げていた。
今までの相手なら、この時点で面倒だ、と離れていたのに、何故かリョウとは一緒にいたかった。
リョウの名前がオレと同じ漢字を使うと知った時には、『運命』という二文字が頭をよぎった。そんなもの、信じてもいないのに。
週末はほとんど家で過ごすというリョウをなんとか丸め込み、これまた趣味がかぶっていた映画や写真集、音楽などの餌で釣り、オレの家で過ごすことも増えた。
それでも、性的な雰囲気に持ち込もうとしても、集中し始めるとまるで周りが見えなくなるリョウに、ことごとくかわされる。
リョウは、オレを初めての親友として位置付けたらしく、心を開いていくのが目に見えてわかる。そしてオレは、
リョウと会う度に押さえられない欲情を我慢するのに必死で。
ここで襲ってしまえば、二度とこの笑顔は見られないだろう。そう思うと何も出来なかった、という方が正しいだろう。
それほどに、リョウは最初に見せたあの愛想笑いからは、想像もつかないほど色んな表情を見せてくれて、そのどれもがリョウをより魅力的に見せていた。
手放したくない。傍にいてほしい。誰にも見せたくない。
徐々に膨らんでいく独占欲に、歯止めがきかなくなり、オレは一つの賭けに出る。
一緒の大学に進学すること、そして、通学に便利な場所で一緒に生活することを提案したのだ。
かなり人と接することを嫌がるリョウが、それを受け入れるなら、どんなことをしても手に入れてやろう。でも、一緒に住むことを拒否するようなら、諦めよう。
そんな賭けだった。
結論をいえば、拍子抜けするほどあっさりと『いいよ』と返事をもらう。
「アキラって将来のこととか決めてんだな、なんか意外」
と驚かれたりもした。
オレが決めてるわけじゃない。
大学に進学することは、高校の入学の時に言われた通り、親父の世間体のためだ。しかも、将来は自分の跡を継がせるためだと、経営を学べる学部しか認めない、ときた。
認めてくれなくてもいい、と言いたいところだが、金を出さない、生活費すら出さないと言われれば、従うしかない。
所詮、オレは、金が全てと生きてきたから。それが無くなるのは怖かった、ただそれだけだ。
なのに、リョウは『すごいな』と尊敬の眼差しでオレを見つめる。そんなわけはないのに。
生まれて初めて、自分の生きている世界を恥じた。
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