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もやもや
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時間が来たので打ち上げはお開きになった。何人かの人達と靖史さんはこのまま二次会に出かけるらしい。店を出ても周さんは相変わらず僕にぴったりくっついていて、なんとも言えない居心地の悪さに僕はすっかり辟易していた。
「終電も近いしお前らうちに泊まってくか?」
僕らの方を見ながら圭さんが笑顔で話す。圭さんの言葉はありがたいとは思うけど、疲れてしまったので僕は正直もう帰りたかった。康介はどうするのかな?と見てみると、いつの間にか戻ってきてた陽介さんと何かを話していた。
「圭ちゃん 悪りい。今日はこいつらと一緒に帰るよ」
陽介さんがそう言って断ってくれたので、僕は心底ホッとして康介と陽介さんと一緒に家に帰った。
金曜のライブのあとからずっと、僕は周さんの事を考えていた。
康介が何度か電話をくれたけど、何をどう話していいのかわからず無視してしまった。康介の事だからきっと何かを察して心配してくれてるんだろう。
いつもありがとう、康介。
日曜日の夕方、階下から母さんの声が僕を呼ぶ。
「竜太! 康介くん、来てるわよ」
その声と同時に、ドアのノックが聞こえた。来てるって、もう部屋の前まで来ちゃってるじゃん……
「竜? 俺だよ、開けてくれ」
「………… 」
康介が来てくれたけど、僕はどうしたらいいのかわからない。
「康介、ごめん。僕、何をどう言ったらいいのか……わからなくて」
「大丈夫か? 周さんの事じゃねえの?俺、聞くよ」
少し考えて、僕は康介に学校で周さんに初めて会った時のことからライブの打上げの時のことまで、全部話した。キスをされたなんて恥ずかしかったけど、康介は黙って聞いてくれていたから次から次へと言葉が出てきた。
そしてライブの日の出来事と、なんだかわからないこのモヤモヤした気持ちと、ドキドキしている気持ちを打ち明けた。康介や他の人には感じなかったドキドキした気持ち。ずっと周さんのことが気になってしまい眠れないこと。周さんに触れられても嫌じゃなかった事……。
ずっと黙って聞いていた康介が突然、僕の事を抱きしめた。何も言わず、抱きしめる腕の力が強くなる。
「康介?? どうしたの?」
なんか康介、嬉しそう?
「竜? 今お前、ドキドキしてるか?」
急に抱きしめられて驚いたけど、べつにドキドキするような事ではない。ドキドキというより安心するという言葉の方がしっくりきた。
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