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浮気じゃありませんよ(大事な事なので2度言いました。)
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カフェの前に着く。
リア充がひしめきあっている。
「まーくん早く入ろぉ?」
「分かったよぉ~」
手を繋いだバカップルが入っていく。
うげえ。まじないわ。
だがここで俺は大事なことに気がついた。
俺も手を繋いでるっていうね。
しかも男同士だから、側から見たらもっとうげえ。なわけですね。
さっきから痛い視線が注がれていましたね。わかってましたよ。
俺は店に入る前に手を離した。
手を繋いだままこんな店に入ったらカップル認定されるわ。
会長はそれに気がつくと、じっと俺を見てきた。
「なんだよ...」
「...なんでもないよ。入ろう。」
会長はパッとさわやかな笑顔をつくると、カフェのドアを開けた。
また繋ぎ直されるかと思ったが...
なんなんだよ...
感じのいい店員が案内してくれる。
さすがに男二人の客は他にいないみたいだった。
案内された席に座ると、周りがチラチラとこちらを見ていることに気がついた。
まあ......予想はできていた。
「ねえ、あの人めっちゃかっこよくない?」
「ホントだ!すっごく顔キレー!!」
ヒソヒソと女子の声が聞こえる。
さすが会長。
外でも目を惹く美形だ。
俺が話していた女子をボーッと見ていると、会長は、俺の頬をツンとつついた。
「なっなんだよ」
「宗吉は何頼むんだい?
ここはパフェが有名らしいんだけど。」
「じゃあそれでいい。」
俺は甘いものは普通に好きだから、会長が勧めたパフェと、コーヒーを選ぶ。
店員を呼ぶと、すぐに来てくれた。
頬が赤い。
彼女も会長に釘付けのようだ。
「すみません、コーヒーとカフェラテと、ラブラブパフェ下さい。」
会長の注文に、少し違和感を覚える。
......ん?
ラブラブ?
なんだその名前。
そんなもん頼んでないぞ。
店員は少し困ったように尋ねてくる。
「あの...すみませんお客様、こちらの商品はカップル限定なのですが...」
「それなら、僕達付き合っているので大丈夫ですね。
ね、宗吉?」
何!?
「なっ違っ!!」
「しっ失礼しましたああっ!!!」
店員は俺の声を聞くこともなく、厨房に急いで戻っていった。
待て待て待て!!
違います誤解です!
俺には付き合っている人がいるし!
あ、それも男だけど!!
会長はにこにこ笑って此方を見ている。
「いや笑い事じゃねえよ!
俺達カップルじゃないだろ!」
「でもコレ食べてみたかったんだよ。ほら見てごらん、美味しそうだろう?」
会長はそう言うと、メニューを差し出した。
ショッキングピンクで一際目立つページを開いて見せる。
『カップル限定♡当店名物ラブラブハートパフェ』
それだけで1ページを使っているパフェは、ベリー系が沢山入っていて、チョコブラウニー、ハート型のクッキー、ハート型のマシュマロが上に乗っている。
確かにうまそうだけど......
これじゃなくてもいいだろ!
会長は目を輝かせて言う。
「すごくピンクだろう!実はずっと食べたかったんだ。
でも一人じゃ来れなくてね...」
......。
会長は俺の方を見つめると、ふふ、と笑った。
「宗吉、とても嫌そうな顔をしているね。」
あ。顔に出ていたか。
つか、どんだけピンク好きなんだ。
先程の店員が、注文した飲み物と例のパフェを運んできた。
思ったより大きい。
そして思ったよりピンクだった。
会長はとっても嬉しそうにそれを一口食べた。
「美味しいよ。宗吉も食べてみて。」
そう言われて、俺も上に乗っているブラウニーを食べてみる。
...うまい。
普段の疲れがとれるようだ。
やっぱり糖分を欲していたんだな。俺。
二人で夢中になってパフェを食べ進める。
「なんだか昔みたいだね。」
会長は間抜けな笑顔を向ける。
その口元にはホイップクリームが付いていた。
...ったく。
色男が台無しだ。
俺は指でそれを掬い取ると、自分の口に運んだ。
まだまだ世話が焼けるな。
会長はその様子を瞬きもせずに見ていたが、ハッと我に返ると、目の前のパフェのように頬がピンクに染まった。
...照れんなよ!
幼馴染みなんだから慣れてるはずだろ!
「む、宗吉よくそんな恥ずかしいことができるね......君は天然タラシというやつかい?」
「薫には言われたくないし。」
いつも自分の方がよっぽど恥ずかしいことしてるだろうが。
会長の照れるポイントがわからなかった。
俺がコーヒーを啜ると、会長は自分のスプーンにクリームをよそい、俺にそれを差し出してきた。
「...あーんして」
顔を見ると、まだ赤い。
おいおい。本当にカップルみたいになってるぞ。
そう思ったが、俺は素直に口を開ける。
するとスプーンは俺の口から少しズレた所にべちょっと押し付けられた。
おい......
「やるならしっかりやれよ...」
「ごめんよ。......今度は僕がとってあげるから。」
あ、コレがやりたかったわけね。
俺は仕方がなくクリームがついた頬を差し出す。
すると。
ぺろ。
生暖かい感触がする。
え......?
気づくと会長はクリームを舐め取っていた。
えええええええ!?
そっち!?
驚いて固まる俺をよそに、会長はまだぺろぺろと舐め続けている。
「ちょっ...やめろ......クリーム取れただろ!」
「まだ...もう少しだけ。」
「ふ...んん......っくすぐった......っ!」
ゾクッとする。
離れようとしても、会長が俺の頭をがっちりホールドしていて離れられない。
俺は恥ずかしくて目をぎゅっと瞑った。
何が恥ずかしいことができるねだよ...っ!
コッチのほうが恥ずかしいわ......っ!!
会長は満足したのか、舐めるのをやめて俺の頭から手を離すと、食べるのに戻った。
「さっき恥ずかしいことをした仕返しさ。」
「.........ありえねーし」
もっと強く言ってやりたかったが心臓がバクバクしてもう何も言えなかった。
人が見てるのに...何考えてんだか。
さっき周りの女子が何人か声を上げていた。
(中には何故か鼻血を出して倒れるものも。)
そして彼女たちは、今もじろじろとこちらを見ている。
くそ...っだからこんな恥ずかしいんだ。
顔が熱いんだ。
会長のバカ!!!!
俺はムシャクシャしてパフェをガツガツ食った。
会長が好きな苺も、残ったもの全部食ってやった。
会長は呆然としている。
へっ!ざまあ!!
俺はほくそ笑んだ。
結構な量があったパフェは、二人で綺麗に平らげた。
一番上に乗っていたハートのクッキーは、二人で半分こした。
くそう......カップルかよ.........っ
うう...菅谷、浮気じゃないからね...
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