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文化祭day1:お化け屋敷の王子様
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みなさん、御機嫌よう。
ゾンビ1の結城宗吉です。
文化祭の初日、校内発表。
俺たちのクラスは最初から飛ばして大盛況です。
さすがお化け屋敷。
スリルを求めてたくさんの生徒が来るもんだ。
俺は中間地点でゾンビ2とゾンビ3と、来た人を追いかける役。
お、また出口の方から悲鳴が聞こえてきた。
お化け屋敷なんだから当たり前だろ、って思うだろう。
でも、このクラスは違う。
出口で待っているのは1番怖い仮装をした生徒、ではない。
会長だ。
「会長!写真撮ってください!!」
「俺も!」
「ボクも!!」
おそらく先ほど俺たちゾンビの前をビクビクしながら通った生徒達のはしゃぐ声が聞こえる。
お化け屋敷ではしゃぐなんて…
いいのか、それで。
俺が呆れて溜め息を吐くと、ゾンビ2のクラスメイトが話しかける。
「さっすが高平会長だな〜!」
「そ、そうだな…」
「衣装めちゃくちゃ似合ってたし、超かっこいいよな♡」
「お、おう…」
「なんか〜王子様って感じだよな!」
「おっ王子様ぁ!?」
俺は目を見開いてゾンビ2を見た。
ゾンビ2は驚いて「やめろよ!お前今ゾンビなんだから!ビビらせんな!」と言った。
いや、鏡見ろ、お前もゾンビだからな。
それにしても“王子様”はおかしい。
会長の衣装は死神だぞ。
1時間前。
会長の支度が終わり、教室に入ってきたとき、クラスメイトの大半が倒れた。
会長の衣装は死神。
メイクした生徒はかなり頑張ったのだろう。
とてもクオリティが高く、怖い死神になっている。
…なのに……
やはり会長のイケメンオーラは隠しきれず、これでは来客(特にうちの生徒)を脅かすことは不可能と悟った西園寺が、会長を出口の記念撮影要員に変えたのであった。
「俺、終わったら高平会長と撮ってもらお!」
とゾンビ2が言うと、
「あっ!お前抜け駆けだぞ!!」
とゾンビ3が胸倉を掴んだ。
「お前みたいなゾンビ、高平の隣に並べるわけねーだろ!!」
「はぁ!?お前だってゾンビだろーが!」
「るせぇテニス部ゾンビ!!」
「やんのかサッカー部ゾンビ!!」
いや、どっちもゾンビだろ。
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