アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
3
-
兄と父は弟にきつく当たるのかというとそうでもない。
なぜなら私の下にはもう一人弟がいるのだが、溺愛している。
現に晴樹兄さんと父様は私には何も言ってこなかったのだが、
「そういえば幸樹はどうした。」
「幸樹はまだ眠っていましたよ。あとで起こしにいかせます。」
「そうか、幸樹は相変わらずお寝坊さんだねえ。」
そういって父様は微笑んだ。そんな顔、私には一度も向けたことないのに。
私は目の前に運ばれてきた朝食に手をつけた。
こんがりと焼かれたベーコンを口に運んだとき、遅れて扉が開いた。
「おはようございます、兄様たち。」
私の下の弟、幸樹が急いで起きたのか少し服装を乱しながらリビングへと入ってきた。
とたん、父様の顔が明るくなった。
「おはよう、幸樹。今日も幸樹はお寝坊さんだねえ。明日からはがんばるんだよ。」
「ごめんなさい父様。昨日借りてきた林原先生の新刊が面白くてつい夜更かしをしてしまいました。」
「幸樹は林原先生の本をもう読めるのか、感心してしまうな。あの人の本はまだ幸樹には難しいのでは?」
林原先生の大ファンの晴樹兄さんは喜びながら幸樹に話しかける。
「はい、少し前まで難しいなあと思っていたのですが最近試しに読むと意味を理解することができるようになって。」
「そうか、そうか。幸樹、ほかの作品が読みたくなったら私の部屋までおいで。何冊か貸してやろう。」
「有難うございます、兄様!」
そういって幸樹が笑うと途端周りの空気が明るくなった。
そう、私が部屋に入ったときとは正反対に。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
4 / 11