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栄宮の発言により、教室がザワザワと五月蝿くなる。
しかし、そんなクラスの反応もお構いなしに栄宮は会話を続ける。
「聖、また毎日会えるね」
「……さかえ、みや……くん」
「やだなー。名前で呼んでって言ってたよね?」
にっこりと、それはもう満面の笑みを浮かべる彼。まさか、自分のしたことを忘れたというのか。
あんなにも、私の心を傷付けたというのに。
「おら、栄宮ー。早く席につけ。」
「すいません、先生。」
顔が青褪めていくのを感じた私は先生の言葉に救われた。あともう少しでも彼と顔を合わせていたらどうなっていたかわからない。
本当に彼は覚えていないのだろうか。
私を救い、私を残酷なまでに裏切ったあの出来事を。
それは、私が14歳になる日。
父様からのはじめての呼び出しで告げられたのは、私に婚約者がいる、ということだった。
ただ、それだけを告げられそれ以外は何も言われない。相手は誰かと父様に聞けば、今にも分かると言われた。
いったいいつ、どんな風に決められ、またなぜ嫌われ者の私に婚約者などがいるのか。聞きたいことは山ほどあったが、すぐに退室を告げられた。
相手はいったいどのような方なのか、可愛らしい方なのか、長宮家にどのような関係のある方なのかなどと悶々と悩んでいた私だが、その答えは次の日に解決するのであった。
それは放課後、滅多にない家からの連絡。すぐに帰宅するように、ということだった。
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