アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
あの日..2
-
あぁ、転がった…。
さっきまで握っていた、シンプルな銀に小さな紫色の石がついている指輪。
自分が大事そうに持っていたものが遠くに落ちても、
そんな感想しか自分が抱く事は無い。
反射的に手は伸ばしたが、
届かない。
指輪はどうやら、観客の前に備え付けられた柵の近くに落ちたらしかった。
「ルーノ様!!」
後ろから、僕を呼ぶ声がする。
さっきまで僕の近くに居て、パレードの護衛をしていた兵だろうか。
混乱した景色の中、妙に冷静な心持ちの自分の頬に、雫が伝う。
…??
何故か‘涙’が流れている。
遅れてそう気付いた時、
柵の隙間から一人の少年が飛び出した。
5歳か6歳くらいの少年が、落ちている物に手を伸ばしてから、
僕の前まで駆けて来る。
僕は身構えて、ヨロヨロと立ち上がた。
すると。
「はい!!」
そのスピリートの男の子は、
警戒する僕を怖がる事も無く、
屈託無く、僕に笑いかけた。
無邪気に笑いかけ、
そして僕の手の平に指輪を返す。
彼の柔らかなウェーブのかかった黒髪は、
太陽の日射しを受けてキラキラと輝いて。
指輪が再び、僕の手の中に収まる。
「…誰だこのガキの親は!
プロフィテーギ帝国、第三子息様になんという無礼を…!!」
僕をさっきまで心配していた兵が、彼に銃口を向けたけど、
僕の体は何故かそれを手で制した。
‡‡‡‡‡‡
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
21 / 164