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その明け方
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***
どんなに平常とは異なる事が起こったとしても。
例え、帝国の作戦司令官によって、
スピリート軍の捕虜が血みどろになったとしても。
ほんの一握りの人間以外は、そんな事を知る由も無く、
すぅすぅと幸せな寝息を立てて、その夜を過ごす。
それはなにも、庶民に限った事ではなく。
上流の貴族にも、同じ事が言える。
ルーノの狂気を知らないまま、
きっと今日も、
ある者はその美貌を賛美し、
ある者はその頭脳を羨み、
そしてある者は彼に憧れ、そして妬むだろう。
ピピピ…チチチ…
プロフィテーギ最高管理官とその血族が住まう屋敷には、
夜が明けると、軽やかな小鳥のさえずりが聞こえてくる。
仲良さげなその鳴き声は、ルーノの部屋にも当然届き、
朝の来訪を告げる。
しかし今朝に限り、
その必要は無かった。
何故ならば、ルーノはその夜、
一睡も出来ていなかったからだ。
いや、ルーノからしてみれば、
一睡もしたいとは思わなかったのだろうが。
ルーノは、クローロに言葉で拒絶され、その報復として彼を切り裂いた後、
その、血で濡れた手で、
自慰行為に耽っていたのだ。
そして、もう出るものも無いのに、
まるで狂った人形のように、
その行為は続く。
「はあっ、はあっ、はあっ、は、
は、あ、はあ…あ…ん……!!!」
ソファのギシギシと軋む。
ルーノはその白い肌を熱でピンクに染めながらひたすら、
弄り過ぎで真っ赤になった自身を擦り上げ、
その快楽に身を任せていた。
自らを絶頂まで追い上げたルーノは、
爪先まで伸びきった脚を、
ガクガクと震わせる。
「ん、ん、んん、ふ…」
クローロの事を思い出しているのだろうか、
ルーノの睫毛は伏せられたままピクリと揺れ、
ルーノの儚げな美しさがより一層濃くなる。
それは、彼が自身の精液にまみれ、
浴びた血が赤黒く固まっていたとしてもだ。
それどころか、汚れ、荒んでいるからこそ、
輝きが増すのかもしれない。
「く、ぁ…。」
ルーノの呻き声に被さって、また、
鳥が鳴く。
どこまでも、楽しげに。
どこまでも、純粋に。
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