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平穏?..3
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※少し前に出てきた流血シーンが回想されます。
そういうのが苦手な方はご遠慮ください。
***
「ん…」
目の前を、横切る。
キラリと光る、
ものが。
それは、真っ直ぐ、
なんの躊躇いも無く、
下ろされて。
「…んん゙」
舞う。
そんな、ぬるい、
感じでは無い。
なんだ…?
もっと、
強烈で、
卑劣で、
そんな何かと一緒に、
鋭い、迸り…
襲う。
襲われる。
「はぁ、はぁ、はぁ゙あ…」
そうだ…
赤…
赤が……
赤…?
抉れて、一方的に、なんでだ。
なんで…
軋む。
ぼやける。
アイツ狂っ…
あい、つ…?
ルーノ。
「ああああぁ゙…!!!!!」
くぐもった悲鳴。
それは激痛で叫ばれたのでは無い。
傷口は既に縫い付けられ、
必要な輸血もなされ、
麻酔も効いている。
今、命の危機が迫っていたのでも無い。
深い眠りからの覚醒と共に、
クローロは思い出したのだ。
「あ、あ、ああ゙あ゙あぁ……」
その純粋な恐怖を。
クローロに付けられた人工呼吸機はすぐさま白く曇り、
心拍数の急激な上昇を計器が知らせる。
傷口に巻かれた包帯からは血が滲み、
掛けられていた布団はベッドから払い落とされた。
「あ、あ、あ…」
あの光景が、
クローロの脳裏に、
チカチカと繰り返される。
やめろ、ルーノ、謝るから、
もうやめろ…!!!
クローロが再び静かに眠ったのは、
到着した医師に投薬されてからだった。
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