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センセー、俺頭ぶつけたから氷貰いたいのと、こいつ超寒がってるから毛布借りに保健室行きたいんですけどーって宿直室で頼んだら、
面倒くせえからお前ら今日は保健室で一晩過ごせ。戻ってくんな面倒だから、とかなんとか厄介払いするように追い返された。
「ちょっ…柏木兄適当すぎじゃね!?」
「うっせえよ。ホラ鍵。ったく…朝飯までには戻れよ。あと柏木兄ってもっかい呼んだら柚木の生活態度から点数マイナスつけっからな」
「職務怠慢と職権乱よ「夜遅くにほんとすいません! 失礼しまーす」
有無を言わさぬ力で俺の口を塞いだ篠(近い近い近い近い!)は柏木兄から鍵だけひったくってずるずる保健室まで引っ張った。
手際良くドアを開けてもたつく俺をベッドに追いやる。
借りてきた猫みたいにそれに従ってた俺は、篠が扉を閉め鍵を掛けた音でやっと我に返った。
「…っ……」
「氷って多分冷蔵庫の中だよね」
「た…多分」
「ここかなぁ」
この状況は、ふたりっ…きり…というやつなのでは。
「あ、発見」
すぐ出来ますからねーって篠は一旦水場に消えて、かと思ったら手に氷のう持ってホントにすぐ戻ってきた。
それを「ハイ」と手渡され、恐る恐る後頭部に当てると……うう、やっぱ痛い。
「まだ痛む?」
「まあ…でも一晩冷やせば大丈夫だろ」
だから平気、と言いかけて、はたと気づく。
「俺のことはいいから、篠こそその格好どーにかしろよ」
「格好? ああこれ?」
「6月っつってもそんなん着て寝たら風邪ひくだろ」
「確かに…でも他に着るモンも、って先輩!?」
ベッドから降りて篠のTシャツに手を掛ける。
「しの後の言わずに(うわ、シャレだ。)さっさと脱いじゃえよ」って捲ろうとしたら、逆に腕を掴まれた。
「待って先輩、待って待って!」
「はあ?」
何言ってんだこいつ。
「この服30分はこの状態で着てんだろ?
いい加減どーにかしねえとマジで風邪ひくって。搾って干しときゃ乾くだろーし」
「それはそうかもしんないけどっ…!」
「だいたいこんなびしょ濡れのシャツのままベッド使えねえだろ」
「うわああ言いながら脱がさないでよ寒いじゃんっ」
「篠が脱がないからだろ。ほら手ェあげて」
「わ、わかった! わかったってば! 自分で脱ぎます! 脱げますから!」
「あっそ。じゃあ俺タオル取ってくる」
「それも俺がやるから! 大丈夫です! 先輩はもう動かないで!」
窓から差し込む月明かりしか光源がない保健室は、少し神秘的だ。
暗がりで何かを搾る音が聞こえてきたから、ちゃんと言われたこと守ってんだなってホッとする。
と、いうか………俺は何やってんだろう。
好きな人の服を無理やり脱がしにかかるって、ほんと…痴漢だ…!
別に、裸が見たいとか思ったわけじゃないんだ、全然ないって言えばそりゃ嘘になるけど、残りの97%は本当の本当に風邪ひかせたら可哀想だって、それだけで! だからこれなんの言い訳だよおおお!!
恥ずかしくて発火しそう。
あ、でも俺が燃えれば篠は暖をとれるからあったかいよなーって違う違う違う違う。
脳みそが! 帰って来ない!!
「先輩」
「ぅわっ!?」
ベッドに腰掛けてた背後から、冷んやりした何かに力任せに抱きつかれた。
首筋もすっごい冷たくて、頭の先からつま先まで一気に凍える。
腹に手を回されてるから全然動けなくて、もがけばもがくほど力は増した。
って、これ篠じゃねーか!!
「おっ前、何して、」
「超寒い…!」
「だからって俺の体温奪うなよ!?」
「無理。寒い。こうなったらもう先輩であったまるしかないと思って」
「子どもみたいなこと言ってないで離れろって、毛布に包まればいいだろ!」
「人肌恋しいんですぅ」
「気持ち悪い言い方すんなバカ、ぅはちょっ脇…っ冷えええええっ!!」
脇のくすぐったさに気を取られてたら、いつの間にかパーカーの中に侵入してた篠の手がダイレクトに触れて鳥肌が立った。
冷たい手は俺の許可も取らずに無遠慮よろしく腹とか胸とか弄る。
なんか、違う意味でっ…恥ずかしいんですが…!
「篠、篠っ…俺まで風邪ひきそうなんだけど」
「あ、ほんとだ。先輩の腕鳥肌立ってる」
「お前のせいだろっ」
「じゃあ脱がしていい?」
「ハア!?」
「さっき先輩俺の服脱がそうとしたじゃん。俺もやりたい」
「いやいやいやいや意味わかんないから!
何その目には目をみたいなハムラビ法典的思想は」
「脱衣には脱衣を?」
「知 ら ね え よ!!
第一俺濡れてないしって、バカバカバカ、バカ千明! ほんとに脱がせにかかるなよっ」
外気に触れた素肌にぎょっとしてワケもわからず口走ったら、やっと暴走魔人が動きを止めた。
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