アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
想いの行方
-
パーカーをたくし上げられて、素肌に篠のベロを感じてやっと頭が覚醒した。
ていうか手ェジーパンの中に入っ………!!
「ちょちょちょっ、篠、篠!」
「何? キス?」
「ちっげ……ぁ…!」
「先輩かわいい」
この状況でかわいいもクソもない。
嫌だ嫌だって強く頭を振ってみるけど上半身は篠の体重のせいでビクともしないし、
ジーパンの中に突っ込まれた手は容赦なく俺のを責め立てる。
そりゃオトコだから感じるしどうしよーもないけどっ…腹の底から湧いてくる様な強い快感に、きつく目をつぶった。
「も…ゃだっ、し…のぉ…!」
「気持ちい? イッていいよ」
「冗…談!」
俺の言い方が気に食わなかったのか、篠の手つきが急かすようなものに変わって限界が見えてきた。
くちゅ、って湿った音が身体に響くしこいつの荒い息も、ベッドも、全部篠の匂いでなんかイカれそう、やだ、やだ、
ウソだろ、クソ…!
「意外と早かったね」って不敵に笑う篠をまともに直視できない。
イッた余韻で心臓の音がものすごくうるさくて、どこもかしこも篠だらけで目眩がする。
「抱くって、ハァ…お前俺とっ…ヤんのかよ」
「そのつもり、だけどっ」
「ん…っ!」
何もかもが腰にキてる。最悪だ。
篠に『かわいい』とか『好きです』とか言われるのはぶっちゃけ嬉しいし、本当だったらいいって思うけど、
衣擦れで震える身体にムチ打って、うまく入り込めた膝を踏ん張って????闇雲に篠の腹を蹴り上げた。
ここまでお前がバカなんだったら、『想ってる』だけはやめにする。
「うっ…!?」と映画のワンシーンみたいに呻いて、およそ50センチの高さから篠は転落、
俺がベッドから起き上がってようやくその体を起こした。
「すっごい……痛い…かったんだけど」
すでに日本語怪しい。
俺は胡座をかきながら、渋々口を開けた。
「…お前やっぱ俺のこと、そんなに好きじゃねえって」
「は、はあ…!? 好きだよ!」
「いや、違う」
「好きだって」
「違う」
「好き」
「ち が う !」
「好 き だ !」
「「………」」
なんでこんなこいつ、負けず嫌いなワケ?
向こうも同じことを考えてたらしく「先輩って一度言い出したら聞きませんよね」なんていけしゃあしゃあ言うもんだから、顔面目掛けておもっくそ枕を投げつける。
「ぶほっ」
「篠にだけは言われたくない」
「なんっ…そもそも先輩が、」
「それは悪かったよ。俺も。ごめん。
でも美香が告白すんのは美香の自由だし…お前だってあいつの気持ちはわかってただろ?」
「それは…そうだけど、でも先輩には協力して欲しくなかったっていうか…!」
「…好きだから?」
ムキになった篠をなだめる様に聞けば、
「そう」と静かな返事が返ってきた。
「じゃあ聞くけど、フツー好きなひとを無理やり襲ったりする?」
ゆっくり、努めて慎重に。
篠の耳に馴染むように。
「あ…」
「しねえよ、バーカ。その発想の時点でアウト」
「ご…ごめん、なさい」
「これが俺じゃなかったら今ごろお前舌噛み切られてるし、俺もお前じゃなかったら舌噛み切ってるとこだからな」
「結局誰かが死ぬんだ」
「黙れバカ」
「……はい、」
足を崩して床に下ろすと、篠の顔が引きつった。
『待て』って言ったのに無視しておやつを食べちゃったレトリバーの気まずそうな顔に似てる。俺犬飼ったことないけど。
脈が無いわけでもないのに、自分自身の首を絞めてるような気持ちになるのはなんでだろう。
「わかった?」
「自分が…思ってるより…先輩への思いやりが足りてないことがわかった。でも、」
「何」
「本当の本当に、好き、だと…思うんです」
「…俺もそれを願うよ」
「えっ?」
「帰る」
机とかにしがみついてなんとか立ち上がると、縋るように手を引かれた。
こいつ、と思ったけど、篠があんまり情けない顔してるから振り解こうにも解けない。
俺だけが好きなんだなって自覚しちゃうとなおさらだ。
「篠、」
「待って…帰んないでよ。
俺んち今日親居なくてそれで…寂しいから泊まって…もらいたいんですけど、」
泊まっ……、
「ふっざけんな何されるかわかんねえのに泊まるかバカ! つか息子の誕生日に居ない親って珍しすぎだろ」
「だって温泉旅行が当たったとかなんとかで父さんの有給の都合もあって」
「家庭の事情は知るか!」
「先輩が聞いたんでしょ!?」
「とにかく俺帰るから!」って篠の制止を振り切って部屋を出た。
こんな…こんな下着とかもぐちゃぐちゃのままこいつの家に泊まったりとか出来ると思ってんのかあのバカは!
つーか篠だらけの部屋に泊まるとかどんな荒業だよ、俺は苦行僧じゃねえんだよ、普通のごくごく一般的な男子高校生で、
わかってるよ普通の男子高校生は幼馴染みの男子高校生に恋したりはしねえけど!!
とにかく! 帰っ……あーもうとにかく!
『えっ、あれっもしもし!?』
「今から風呂入って俺んち来いよ」
『……!!』
「言っとくけど篠の誕生日だから泊めるんであって、俺に手ェ出したらベランダから突き落とすからな!」
『ベッドは一緒がいいです』
「いや人の話聞けよ」
『誕生日なんでしょ?』
「0時過ぎたら追い出す」
『あと一時間とちょっとしかないんですが!?』
「じゃ」
『ちょっ…』
ブツ切りした電話の後、髪もろくに乾かさないでドタバタやって来た篠にビンタかまして、夜は結局一緒に寝た。
朝先に目が覚めた時、動揺して篠をベッドから蹴落としたのは内緒だ。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
22 / 37