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子
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もう少しで駅近くのコンビニというところで、スマホが鳴った。
「あ、とうさん?ボクだけど」
のんびりした喋りが、右耳に流れ込む。
「那智か?久しぶりだな。どうした?騒がしいが、今、外なのか?」
取り敢えずは、穏やかに。―いつも妻が頭ごなしに叫ぶので、後手のオレは自然と真逆を行くことになる。旧い刑事ドラマみたいだが、10年以上、オレ達はそんな役割分担だった。
「うん、塾の帰りなんだ。…今からソッチ、行っていい?」
「構わんが。母さんに連絡してからだぞ?」
コッチは離婚された身だしな、と一応は、釘は刺す。
「はいはい。分かってるって」
「着いたら、また電話しろ」
「かしこまりー」
ふざけた返事で息子からの通話は切れた。
15歳か…。
育ち盛りだからな。
弁当でも買ってやろうかと、ポケットを探ったが、あいにく百円玉ひとつ出てこなかった。
まぁ、親父のマヌケっぷりをフォローするのが当たり前だと思って育った子だ。
たっぷり小遣いを持って来たか、もう食事を済ませて来たか、どちらかだろう。
スマホをポケットへ押し込んで、オレはコンビニへと歩き出した。
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