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友達一日目
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増村真澄。
俺のクラスメイト。女子がよく言うのは、小柄で可愛い系であるということ。俺から見ても悪い奴には見えない。見えないのだが……
ブブ、ブブ……
「田辺、またメール来てるぞ。」
バイト先でずっと鳴り響く携帯のバイブ音。バイト仲間からも茶化される。
そう、俺は増村真澄と友達になってからというもの、頭を抱える出来事が起きている。今の現状でもお分かりいただけるように、膨大なメールが送られてくるのである。
「彼女?」
にやりと笑われ、茶化される。彼女からのものとかだったら可愛いなとか思えるかもしれないが、相手は男で……。
「最近友達になったやつなんだけど。マメみたいだな。」
力なく笑うことしかできなかった。ちょっと携帯から目を離していると、いつの間にか溜まっている膨大なメール達。もう、いろいろ支障が出てきている。そろそろアイツに言ってもいいだろう。漸くそう決心した俺は、増村真澄に一通のメールを送る。
”増村、メールの頻度をわきまえてくれないか?”
本当は強く「迷惑だ」なんて行ってみたい。だが、俺の性格上そんなことができるはずもなく……。自分のダメさにため息をはいていると、すぐにメールの返信が来る。アイツ、どんだけ暇なんだよ。そう思いながらメールを開く。
”ごめん。友達になってくれたからってはしゃぎすぎた。やっぱ、迷惑だよな。”
その内容に、俺はひどいことを言ってしまった時のあの罪悪感を感じた。
そうか、元々増村は俺のことが好きなんだもんな。別にそう言う感情じゃなくても、友達になった奴のことは大抵の奴が知りたがるもんだよな。
”俺、あまりメールが多いのはちょっと苦手なんだ。ごめんな。でも、メールはしてくれて構わないから。”
痛んだ良心から、このような返事を書いて送った。今日最後に来たメールは”田辺君、ありがとう。その……また、明日ね。”だった。
今までの友達はガサツな奴が多くて、こんなパターンは初めてだった。
「友達って、どんな感じだったけ。」
気づけば、ため息混じりにそう呟いていた。
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