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欠席不可能
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「は?!」
今俺は猛烈に苛立っている。なぜなら、柿園に勝手に合コンメンバーに入れられ、且つ、欠席不可能と言われたからだ。
「悪ぃー、田辺ー!! でも、今日はレベル高いから!! 相手は何しろ、あの美女が多いと噂の柳女子大の子達だぜ。ぜってーお前の為にもなるって。それとさ、あともう一人誘えるやつ知らない?」
ブチ
ダメだ。こいつの脳は合コン脳。俺の都合はお構いなしかよ。せっかく増村に何作るか考えたのに。そればかりか、あともう一人誘えるか? だと?
「ふざけんな!!」
柿園に、今日という今日はキレた。そんな俺を止めにかかる竹本。
「おいおい、ここ食堂だぞ?! ちょっとは場をわきまえろ!」
「……。」
悔しいが、竹本の言い分が間違っていなかったので反抗できない。柿園は竹本の後ろに回っている。
「全く。俺の予定をガン無視とはいい度胸じゃねーか、柿園。」
「だって、だってだよ? お前彼女いないじゃん。お前密かに女子からモテてるのに、お前彼女できないじゃん。だから、俺がお前にその気にさせるきっかけをだな「余計なお世話だ。」……ごめん。」
俺らを見ていた竹本がため息を吐きながら言う。
「謝るくらいなら、最初っから一言断りを入れてメンバーに入れるべきでしょ?」
「ごもっとも。」
これで懲りてくれればいいのだけど。
「で? メンバー一人足りないって言ってたな、柿園。」
思い出したように竹本が柿園に訊いた。
「うん。」
「じゃあさ、最近田辺と仲がいい増村誘ったら?」
「は?」
何故ここで増村の名前が出る?
呆気にとられていると、理由を話し出す。
「だってさ、俺たち以外は彼女持ちばっかりだしさ。心当たりのある奴なんて、もう思い当たらないんだよ。田辺、柿園に協力してやれよ。」
な? と説得じみた竹本を見て、複雑な気持ちになる。
増村を合コンに連れて行く???
合コンって柄でもないし、誘うのもなんかためらってしまう。
そして、なんか、嫌だ。
だが、必死でせがまれてしまった俺は断ることができずに、君に電話する。
かければすぐに君の声がする。
「もしもし、増村?」
「あー、お疲れ。何?」
「あのさ――」
君は何故だか知らないけれど、行くと言ってくれた。
だけれど、何だろう。行くと言ってくれた時のその声が、とても悲しそうだった。
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