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玉入れ競技が終わったら午後までぼくのでる競技はない。
キョロキョロとテントの中を見回すと、みんなそれぞれの競技にむけて集合していて、3人くらいしか残ってなかった。
大人しくチョコンと座ってると、後ろからチョンチョンと頭をつつかれた。
「ありま!遅くなってわりぃ」
「…っわ!おじさん!」
振り返ると、いつもの黒い甚平を着たおじさんがいた。少しだけ長い髪をうしろで縛っていてドキッとした。
「玉入れ頑張ってたなー、ちゃんと写真撮れたぞ。お母さん達に送ろうな」
「ありがとう…おじさん」
「おう!ちゃんと見てるからがんばれよ」
「…っはーい!」
ポンポンと頭を撫でられ、心が温かくなる。遠くなっていくおじさんの後姿を見てると、少しだけ寂しく感じた。
「……」
撫でられた頭に触れるとおじさんの温もりは消えていたけど、寂しさはすこしだけ和らいだ気がして、またテントへと戻った。
午前の競技も無事に終わり、それぞれ自分のテントへ行き、お昼ご飯を食べる。
約1時間半のお昼休憩だ。
「おじさん…ねえおじさん」
「…んあ?おー有馬ぁ…どうしたー?」
テントへ行くと、おじさんは横になって寝ていて僕が体を揺するとパチッと目を開けた。
「なんで寝てるの?おじさん、ちゃんと見てるって…言った……」
少しむっとしながら言うと、おじさんは焦りながら起きあがり言った。
「だ、だって有馬は午後からなんだろ?俺は有馬だけ見れたらそれでいいし、何しろ俺は他の子供には興味がない!」
最初はふつうの声量だったけど最後の方は小声になっていって、その様子に可愛いと思ってしまいさっきまでのモヤモヤ感は消えていって自然と笑顔がこぼれた。
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