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首元から口唇がはなれ、垂れ落ちる血液を生暖かい舌が這いずり舐め取る。
何回か往復すると、流れ出す血は止まり、急速に乾く。
柔らかな拘束を解き、正面から貌を合わせる。同じくらいの身長、目線はすぐに絡み合う。
息の荒い日向を嗤うように微笑み、口唇を寄せてくる。
口唇を喰まれ、開いた瞬間を狙って舌が挿入り込んで来る。
ぬめる舌の感触に思わず鼻から息が漏れる。吐息が湿度を帯びて来る。
しばらく蹂躙されたあと、ゆっくり口唇が離れた。唾液が糸を引く。
指を添わせて跡を拭い、そのまま己の口唇に指を含んだ。その仕草にカッと頬に血が上るのを感じた。
「…日向クン」
濡れた声が耳をくすぐる。
「ダメだ」
そう言って貌の前に手の平を突き出す。拒絶の動作。
朝からその身体に溺れる訳にはいかない。
正直身体は反応しかけている。だからこそ、余計に嫌なのだ。
「今日は作業に行くから…」
だから、いるなら家にいていいから、好きなように使ってくれて構わないから、だから、
「後でな」
フッと温かい体温が逃げた。
狛枝が身体を離したのだ。
「…しょうがないよね。日向クンお仕事だもんね」
なおかつ、狛枝はこれから寝る時間なのだ。夜よりは聞き分けがいい。
ベッド借りるね、と言っていつものコートを脱ぎ、そのまま潜り込む。
あくびをしてから、いってらっしゃい、とくぐもった声がした。
ああ、と聞こえるように言ってから、玄関に向かう。
「…誰か来ても、開けるなよ」
誰か来ることなんて、ないくせに。そう胸の内で呟きながら、簡素なドアに鍵をかけた。
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