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あの夏の日
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「そう、立花に見合う男になるために頑張ったんだよ、俺!どう?」
どう?って、どうなんだ?
「俺に見合うようにって、意味分かんないけど、随分逞しくなっちまったんだな。」
あの頃とはちがう。
服の上からでも分かる筋肉。
俺の好きだったさらさらの黒髪は、茶色に染められて、ふんわりとしたパーマがかかっている。
ほんのりと香る男物の香水。
あぁ、こいつ男なんだなって改めて痛感させられた。
「立花?」
「あ、あぁ。あまりにも昔とのギャップに驚いたよ。」
動揺しすぎて、頭のなかがパニック状態だ。
「立花、俺、立花に大事な話があるんだ、ちょっと付き合ってくれない?」
行きたくない。
いろんな事がショック過ぎてこれ以上、晴海の口から何かを聞くのが怖かった。
「晴海、この話はまた今度じゃ駄目かな?」
あぁ、また困った顔。
あの頃の俺は、晴海にこの顔をさせたくなくて、俺なりに晴海を守ろうと必死だったな。
「う、ん。分かった、じゃあまた会いにくるから。」
「あ、その…やっぱり、今で、いいかな?俺ん家じゃだめ?」
晴海が嬉しそうに笑う。
「部屋、入れてくれるの?立花の部屋、見てみたい!」
「ん、ここの七階だから。ついてきて。」
結局、10年経っても俺はこいつのあの顔が苦手で、条件反射のように、笑わせようとしてしまう。
昔の習慣が抜けてなかった事が驚きだ。
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