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「...う~、正ちゃん、どうしよう胃が痛い...」
朝から巫女都は途轍も無く緊張している。今日は学校は休みで、巫女都は家業の神社で行われる、
家内安全・五穀豊穣を祈願する祭礼で、巫女神楽を披露する事になっている。
この祭礼は地元の人や地方からの見物人で賑わう、盛大な祭事だ。
巫女都は毎年これに駆り出されるが、自分の性別の事もあり、最近では年の近い従姉妹に頼む様親に言っているが、お顔がちょっとねぇ。と大変失礼な理由で頼まず、結局こうして巫女都に白羽の矢が立つのだ。
「毎年やってんだから大丈夫だろ。巫女ならちゃんとやれるって。」
勿論、正太郎も巫女都の巫女神楽を見に来ている。そして今は巫女装束に身を包み、祭壇を見つめ緊張している巫女都の頭や背中を撫でて落ち着かせている。
けど、毎年の事ながらこの日の巫女はやべぇな。
正太郎は巫女都に恋愛感情を抱いている事には気づいていないが、毎年この日の巫女都に盛大にドキドキする自分には気がついている。
しかしそれは巫女都がいつもとは違う装いだからだと正太郎は思っていた。
今日の巫女都はいつもの巫女装束だが、巫女神楽の為に化粧を施している。
普段から男にしては長めの髪だが、今日はエクステでロングになった艶やかな黒髪を後ろで束ね、クリクリの瞳の目尻には朱を乗せ、ぷっくりとした唇は紅を注していて、いつも以上に艶やか。どこからどう見ても美少女の巫女だ。
マジマジと巫女都の姿を見つめていた正太郎の顔は若干赤くなっているが、正太郎とは対象的に、出番が迫り極度の緊張をしている巫女都は、顔から血の気が引き、祭壇を見つめ蒼白くなっている。
巫女都は胸元をギュッと握り、下唇を噛んでいて、それに気づいた正太郎は巫女都の下唇を親指の腹で軽く撫でた。
「巫女、唇噛むなって。切れるし紅がとれる。」
そんな正太郎の言葉を聞いてるか聞いてないか分からない様子の巫女都は、祭壇から正太郎に向き直り、蒼白の顔で正太郎に懇願する。
「...正ちゃん、あれやって。いつものやつ。」
「はいはい。ほら、」
正太郎は言いながら巫女都を抱き締めその背を擦る。そして暫くすると、今度は巫女都の頬を両手で包み、お互いの額がくっつく様に合わせて目を閉じてまじないをかける。
「 大丈夫。巫女なら出来るよ。大丈夫だ。」
大丈夫。僕なら出来る。正ちゃんが言うなら絶対大丈夫。
正太郎の言葉を聞きながら、巫女都も心の中で復唱する。これは巫女神楽を行う祭事の時に正太郎が巫女都にしてやるおまじないだ。
幼い頃、初めて巫女神楽で舞を披露する事になった巫女都が緊張と不安で泣き出した時、正太郎がこのおまじないを掛けてやった。これが巫女都には絶大な効果があり、それから巫女都はいつも必ずこのおまじないを正太郎に掛けて貰う。
巫女都は自分の頬を包む正太郎の手の上に自分の手を重ね静かに瞳を開くと、そのままの位置で正太郎を見つめにっこり笑った。
「凄く落ち着いた。ありがとね、正ちゃん。」
「 ........おぅ。」
「 正ちゃん、ちゃんと見ててねっ!」
出番が近づいた巫女都は正太郎にそう言うと祭壇へ向かう。
......超ーやべぇ。なんか今日は、色々やべぇ。
正太郎は巫女都の後ろ姿を見つめながら、胸の高鳴りと下半身の反応に物凄く困惑していた。
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