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何で正ちゃんあんなに怒ってたんだろ...。
巫女都は母屋のリビングで落ち込んでいた。「...ハァ。」と溜め息を吐くと、巫女都の母の琴子【コトコ】が札束を数えながら言う。
「何なのー?ため息なんか吐いてたら、お金が逃げちゃうわよー。」
「...お金じゃ無くて幸せでしょ。間違えてるよ。」
テーブルに突っ伏したまま琴子にそう言うと「合ってるわよ」と琴子は間違えを認めない。
「お金イコール幸せ。見てぇー、今日の祭礼の寄付、巫女都のお陰でガッポリ〜!」
「......最低。神職に身を置く者とは思えないセリフ。」
札束を扇子開きしながら言う琴子に巫女都は白い目を向ける。琴子はお金が大好きだ。
「何とでもおっしゃい。生きる事にはお金が要るの。それに私は巫女を引退したから、正確には神職者じゃないのです。因って、お金儲けしても罰は当たりませーん。」
「...もういいや。なんかママと話してると、心の中が黒ずむ気がする。じゃあね。」
「あっ、ねぇ、それついでに芳美に持ってって。」
立ち上がり歩き出すとそう言われ、ついで?と巫女都は聞き返す。
「正太郎の所行くんでしょ?だからついで。」
正太郎の所に行く事を琴子に見抜かれていた事が気恥ずかしいから認めたくなくて口を尖らせる。
「ママに頼まれたから、よっちゃんに持って行くついでに、正ちゃんの所行くの!」
「はいはい、何でもいいですけどねぇ。」とにやにやする琴子を無視し、巫女都はお隣へ向かった。
「あら、巫女ちゃん。正太郎上だよ。」
正太郎の母よっちゃんこと芳美【ヨシミ】がにっこり巫女都を迎えてくれる。琴子とは正反対のおっとりした性格だ。
「ありがとよっちゃん。あ、これママが渡してって。じゃね、」
勝手知ったる何とかで、正太郎の部屋へ真っ直ぐ向かう。気まずい感じで別れたから、いつもはしないノックを一応してみたが、返事も聞かずに巫女都はドアを開けた。
「 しょーうーちゃん。」
ドアからチラッと顔だけ出して声を掛けたが応答が無いからズカズカ入ると、正太郎はベッドで寝ている。
...寝てる。僕だけ気にしててバカみたいじゃん。
プンプンしながら正太郎の頬を突つくと、「ん"ん」と顔を顰める姿を見て巫女都は笑い、正太郎の隣にゴロッと横になった。
急に隣に入った巫女都の少し低い体温が心地良かったのか、正太郎は巫女都を抱き寄せ、腕どころか脚まで乗せる。完全に抱きまくら状態だ。
正ちゃん、重いっ!
186㎝もある正太郎にすっぽり嵌まってる巫女都は、その重さに身動ぎ少し上へずれる。
直ぐ目の前にある正太郎の寝顔を見つめ、巫女神楽のおまじないの様に額を合わせた。
正ちゃん、さっきの妬きもちだったらいいのに。
「なんてね。さっきはごめんね、正ちゃん。」
巫女都は額を合わせたまま、少し笑って眠る正太郎に謝った。正太郎が怒った理由が妬きもちならいいと思う。でも、この気持ちがなんなのか、巫女都もまだ気がついていない。
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