アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
9
-
暫く悶々と考えていたが、巫女都が気にしていないのに考えていても仕方ねぇじゃんと正太郎は開き直る。
「 アホらし。飯食い行こ」
階段を降りている途中から、巫女都と芳美のキャッキャした楽しそうな声が聞こえてきて、女子会か。と突っ込みたくなる。リビングに入ると「あ、やっと来たー!」と巫女都は正太郎を見て膨れっ面をした。
「もー、待ってたんだからね!お腹ペコペコだよ!」
巫女都の言葉に、食べずに待っててくれたのかと嬉しくなったが、正太郎は「悪い」と一言だけ返す。やっぱちっと意識しちまう。
そんな正太郎の様子を見て、芳美はあらあらと内心笑い、「じゃあ、支度するわね」とキッチンに移動した。芳美が行ったのを確認すると、巫女都は「ねぇねぇ正ちゃん、」と正太郎を呼ぶ。
「正ちゃんさっき、僕にキスしたかったの?」
この一言で正太郎はまたピシッと固まったが「...何、急に、」と否定も肯定もできず、質問を質問で返す。
「さっき、よっちゃんがそう言ってたから。正ちゃんが僕にキスしようとしてたよーって。」
ババアーっ!!三猿精神どこ行きやがったっ!! あっさりバラしてんじゃねぇー!!!
「言ってくれれば良かったのに。」
「 えっ!?」
怒り心頭で脳内パニックだったが、その言葉に動きを止めたら、巫女都がガタリと椅子を引き、目の前に来た途端、チュッと触れるだけのキスをしてきた。
「はい。ふふ、何か、正ちゃんにキスするの、大分久し振りだからちょっと緊張しちゃったよ。」
巫女都は何でも無いことの様に、笑いながら椅子に座り直しそう言う。幼い頃は、何かのお礼やおまじないの様にキスをする事があった。だから芳美から正太郎がキスをしようとしていたよと聞いても、あっさり昔したみたいにおまじない感覚なんだろうと、正太郎にキスをするのに躊躇いはなかった。
「見ーちゃったー、みーちゃったっ!」
芳美が温め直した夕食を並べながら歌い、正太郎は未だに固まったままだが、巫女都は楽しそうに笑ってる。
「今日の正ちゃん変だよねぇ。キスして欲しいなんて子供みたいだよねぇ?」
「そうねぇ。でもやっと大人の階段登り始めたのよきっと。身体だけはとっとと大きくなったのにね。あっ、正太郎、下の毛生えた?」
「うっせぇ!!ババアっ!!!」
ババアとかショックー。と泣き真似する芳美を不憫に思った巫女都は正太郎を叱り、ばっちり教えてあげる。
「よっちゃんが可哀想だよ、心配してるだけなんだから!よっちゃん、正ちゃん、ちゃんと生えてるよ!ボーボーだよ!」
「....へぇ、そうなんだぁ、」
とニヤッとする芳美を正太郎が睨むも、芳美はそれを気にする事無くお節介を焼く。
「巫女ちゃん泊まって行くでしょ?食べ終わったらお風呂入っちゃいな。二人一緒にね、」
「うんありがと。じゃあ、早く食べちゃおう!正ちゃん!」
「........おう、」
黒い笑みを深める芳美を見て、嵌められたと正太郎は思った。けど、ここで断るのも意識してますと言ってるようなもんだ。
見ない様にして、ちゃちゃっと洗ってとっとと上がろうと正太郎は心に決める。
無だ...。無の境地を覚れ、
食事をしながら正太郎は覚りを開いていた。
そんな正太郎を見て、芳美は内心ほくそ笑みながら琴子にメッセージを送信。
【 我が息子はどうやら目覚めたよ。巫女ちゃんに振り回されてる!巫女ちゃんは何とも思ってなさそうだけど。】
【 巫女都は気づいてないだけ。まぁ、それも時間の問題でしょ。】
二人の母は思惑通りに事が運び出した事を喜んでいた。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
9 / 217