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「正ちゃん、お願いー!良いでしょ? ねぇてばー。」
巫女都は今、教室の椅子に座る正太郎の首にしがみ付き、のし掛かりながらその耳元で大きな声で頼み込んでいる。
「 ダァッ!! うっせぇ!!耳元で大きな声で騒ぐんじゃねぇ!!」
正太郎に顔を払われ、巫女都は膨れっ面だ。
ぷぅーっ!正ちゃんめっ!...小さい声なら良いのかな?
巫女都は閃きを実行すべく、再度正太郎の耳元で小さな声でゆっくり囁く。
「正ちゃん、お願い、」
「 ウッ、」
小さな呻きを上げた正太郎がクルッと振り返ったのを見て、成功したのかもっ!と巫女都は目を爛々と輝かせて見つめたが、ムギュッと両手で頬を挟まれ押し潰された。
「心では無く、別の場所に響くから止めなさい。駄目なもんは駄目だ!!」
「 う"ぅーっ、ケチ!!」
「ケチで結構」と向き直って相手にしてくれない正ちゃんに、そうだあれなら!と諦めずに元の体勢に戻り試みてみる。
「ねぇ、正ちゃん、僕のお願い聞いてくれたら、何っでも言う事聞いてあげる。」
「......何でも?」
やった!食いついた!
「 うん! 何でもっ!!」
正太郎が話に食いついたのを見て、今度こそ成功かもっ!と嬉しくなった巫女都は、首に回す手に力を込めて正太郎の頬に自分の頬をくっ付けて答えた。
「約束だぞ?絶対だぞ?本当に何でも言う事聞くんだな?」
そう念を押して来る正ちゃんに僕はうんうん頷く。
「 聞く聞く!絶対聞くから! ね、良ーい?」
「......はあ、しょうがない。只し、今回だけだぞ!次、頼まれても断れよ?...ああ、それから、俺も行くから。いいな?」
「 うん! 分かった!僕、先輩に伝えてくるね!正ちゃんありがと!大好きぃ!」
ムギュッと抱き締めそう言うと、正ちゃんの気が変わらないうちに行っちゃおうと教室を後にした。
「おまえ、役得だよな...。つーか、巫女ちゃんの可愛いおねだり見たさにわざと渋ってたろ?」
一連のやり取りを目の前で見ていた智が正太郎に冷めた目を向け言う。
「わざとじゃねーよ。」
「いーや、わざとだね。大したお願いじゃねーじゃん?柔道部の組み手練習に参加したいってだけだろ?巫女ちゃん、ベラボーに強いし、渋るようなお願いじゃねーよ。やっぱわざとだ。エロ。んでもって死ね。」
更に冷たい目を向け辛辣な物言いをする智に、正太郎は諦めたように胸の内を吐露する。
「馬鹿だなおまえは。柔道だぞ?組み手だぞ?むさ苦しい野郎共が巫女に触るじゃねぇか!黙ってはい、良いですよ。って言えるか?言えないね。しかも、あそこの主将は巫女に気がある。硬派だとか言われてるけど、ありゃ完璧ムッツリだ。普通にじゃ触れないから部活出汁にして巫女誘いやがったんだよ!」
「...何だよ、嫉妬かよ。しかもムッツリって。オープンなおまえよりマシだ。」
「.....うっせ。」
正太郎は智を睨み付けながらも、柔道部主将の下に練習に参加すると告げに行った巫女都に思いを馳せ、放課後なんぞ来なければいいのにと思っていた。
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