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「これでよしっ! おう、可愛いぞ!」
「わぁっ、ありがと、正ちゃんっ!」
正太郎は巫女都の前髪をピンで止め、ポンパドールにして、唇にリップグロスを塗った。
「グロスは取れっかもだけど、帰って来たとき髪が崩れてたら何かあったとみなしてシンを殺すからな?」
「もう、何度も言わなくても分かったってばー。」
何度目か分からない忠告に僕はうんざりだ。でも内心疑問は膨らむ。そんなに心配なら何で断らなかったんだろ?って。正ちゃんはこんなに心配性なのに。
程無くして慎一郎が到着し、巫女都をみて目を輝かせ、「巫女ちゃんめちゃくちゃ可愛いじゃん!」と絶賛だ。それを見て正太郎は玄関で慎一郎にくどくど釘を刺していた。
シンの持ってきたウッドソールのサンダルを履こうとし、巫女は立ったまま前屈してストラップを嵌めるから俺はギョッとする。
「...巫女、後ろからパンツ丸出見えだ。」
「 えっ!?じゃ、こう履けば見えない?」
巫女都はしゃがんで正太郎に確認すると、
「いや、巫女ちゃん、それだと前から丸見えだ。ありがとう、ご馳走様。」
そう慎一郎が教えてやる。巫女都は途端に赤面し、正太郎は「見てんじゃねぇ!」と激昂した。
...靴もまともに履けない。女の子って面倒臭いな。
「...はぁ」と出掛けから疲れた様子の巫女を見て、こりゃ巫女は面倒になったらパンツ丸見えでも気にしなくなるなと思った俺は、シンに靴を脱ぐ所には絶対に行くなと注意事項を増やした。
「巫女ちゃん、ここからは俺の事シンちゃんって呼んでね。...で、はい、」
シンは言い終えるなり巫女に向かって手を差し出しやがった。巫女はその手を見て小首を傾げてキョトンとしてるが、俺は直ぐにその手の意味が分かり、シンの手をパシッと叩き落とす。
「...てめぇ、誰がシンちゃんだ。しかも手なんか繋がなくてもいいだろが!」
「慣れるためだよ。ちょこと触っただけで投げられないように。今日だけだから我慢しろ。」
そうシンに言われ、確かにと納得する。ちっと触られたくらいで巫女が反射的に投げ飛ばすのは日常茶飯時だ。しかたねぇかと諦めようと思ったら、巫女が俺の手を握ってきて、小さい声で「やだな」と呟いてる。それはたぶん無意識で、触って平気なのは俺だけだって言われた気になって思わず巫女の頬にキスした。
「しょ、正ちゃん!?」
「んな顔すんな。帰って来たら手綺麗に洗ってやるから。」
「俺はバイ菌か!」
怒るシンに、「似たようなもんだろ」と俺が返すと、巫女が漸く笑顔になった。
「じゃあ、行って来ます。」
「あぁ。...早く帰ってこいよ?」
シンの手を渋々取って言う巫女にそう言うと2人は出ていった。俺はなんか動く気になれなくて、そのまま玄関で暫し立ち尽くしてたけど、脚が勝手に動き出し、外に出た。なんも用はねぇが、急に言い様の無い焦燥感に襲われて、身体が勝手に巫女を追ってた。
少し離れた所に2人が居て、手を繋ぎ歩くそのシルエットに胸が軋むように痛くなって、俺は慌てて家の中に入った。
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