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「...結構時間かかっちゃった。正ちゃん起きてるかな、」
僕は足早に廊下を歩いて教室に着くと、中からボソボソと話し声がしたから、ドアを開ける前に小窓から中を覗いてみる。
正ちゃん......? っ!?
中を見て僕は固まった。後ろ姿しか見えないけど、あれは間違いなく正ちゃんだ。正ちゃんは机の上に誰かを押し倒している上に、ズボンが少し脱げていた。
......うそ、...僕が...我慢...させた...から...?
蒼白になり口を手で塞ぐと、見てられなくてドアに背を向けて立ち尽くしたら、カチャカチャとベルトを締める音と正ちゃんの声が聞こえて顔を歪ませる。
「 巫女戻って来るからとっとと失せろ。」
隠れなきゃと頭では思ってるのに、足が鉛の様に重くて、息も上手く出来ない。4、5歩歩いた所でもう脚が止まっちゃって、僕は壁に凭れて立ち尽くした。ガラガラと音がして、知りたいような知りたくないような気持ちで、教室から出てきた人を首だけで振り返り確認した。
「.........獅童くん...?」
獅童くんが正ちゃんの事を好きだと言うことは付き合う前から知っていた。けど、今まで正ちゃんは少しも相手にしている様子は無かったし、その存在を脅威に思った事だって一度も無かったのに、これって、どういう事なんだろう。
悲壮な顔で見つめる巫女都に気がついた獅童は、ツカツカと巫女都の側まで来ると、怒りをぶつけた。
「いつまでも佐倉くんの隣に居られると思わないでね!可愛いだけで選ばれただけのくせに!僕の方が佐倉くんの事、喜ばせてあげられる!!桐谷くんに出来ない事、僕ならしてあけられるんだから!!」
「 っ!?」
顔を真っ赤にして言いきる獅童くんに、僕は何も言い返せなかった。口を開いたら泣きそうだったから。図星を刺された気がして居た堪れなくなって黙っていたら、獅童くんはドンッと肩をぶつけてきてその場を後にしたいった。
巫女都は壁伝いにズルズルとしゃがみ込むと、震えだした手をギュッと握りしめる。
......正ちゃん、獅童くんと...シタんだ...。
暫くその場を動けずに居たけど、トイレに行って顔を洗うと、鏡に映る自分を見つめて頬をパンパンと強めに叩いて気合いを入れる。
「 行こう。」
重い足を引き摺り教室まで戻ると、今戻ったかのように僕は振る舞う。
「正ちゃん待たせちゃってごめんね!...帰ろ?」
「 巫女、遅ぇーよ。」
僕のその言葉に正ちゃんが普通に答えてきたから泣きたくなる。でもそれを我慢して、笑いながらごめんねって謝った。
下駄箱で靴を履き替え歩く帰り道、いつもなら直ぐに手を繋ぐけど、僕は取れずにいる。
正ちゃんのその手を見ていると、心の中に言い様の無い醜悪な感情が湧いてくる。それを振り払いたくて、慌てて首を左右に振った。
「......どした、巫女。」
その奇行に正太郎がそう聞いてきて巫女都はまた首をふるふる振る。
「なんでも無い。...ねぇ正ちゃん、ずっと僕と...一緒に居てね。」
そう言った巫女は明らかに作り笑顔で、きっと浮気の事で不安になってんな事言ってんだろうなと俺は思った。
「 あたりめーだろ!頼まれたって手放さねぇよ。」
正ちゃんはそう言って優しく頭を撫でてきて、そんな事をされたら逆に不信感が募っていっちゃって、僕は泣きたい気持ちでいっぱいになった。
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