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「ヒィッヒッヒッヒ。美味しい美味しいりんごだよぉ、ほら、御上がりぃ。何なら口移しで...、痛てっ!! なにすんだよ!?」
白雪姫の稽古中、老婆に扮した正太郎が白雪姫である巫女都にりんごを渡すシーンを稽古中だが、荻島は台本の角で正太郎の頭を思いっきり殴る。
「毒りんごを口移しで食べさせてどうする。魔女まで死ぬだろうが。それに白雪姫の腰に手を回すな。それから距離が近すぎる。後.....」
「だあぁぁッ!注文が多いわっ!」
俺は荻島先輩に文句を垂れると、叩かれた頭を巫女に差し出す。あいつ角で殴りやがったから。
「巫女、ちょっと痛いの飛んでけってして...フガっ!?」
「佐倉ぁ、進まんだろうが」
「...荻島先輩、裏ピース俺の鼻に突き刺さってるんすけど......」
こんな調子で正太郎の出演シーンは中々進まないので後回しにされ、小人と戯れるシーンでは獅童がやらかす。
「 おおなんとうつくしい。」
「おい獅童、なんだその棒読みは。もっと感情を込めて言え。」
「 例えセリフでも感情込めてこんな事言いたくないです。」
荻島の指示に獅童はツンとした態度で返し、これはダメだなと、別シーンの稽古へ。
次は棺に納まった巫女都を小人が取り囲み嘆くシーンだ。
「 っ!? や、やだっ!?」
「 ゴラァ!! 獅童以外の小人6人!!巫女に触ってんじゃねぇっ!!」
「...ハァ。これも駄目か。じゃあ、次、白雪姫と王子のキスシーン行け。」
正太郎が暴れるのにも構わず、荻島は眉間を押さえうんざりした顔で言う。こんなに進まない稽古は前代未聞だろう。
「......荻島先輩、練習だからフリでいいんすよね...?」
「 勿論きちんと口付けしてもらうに決まっているだろう馬鹿者。リアリティを追究すると何度言ったら分かる。」
恐る恐る聞いた正太郎に、荻島は然も当然と言わんばかりの態度で言う。それを聞いた巫女都は固まり、正太郎は喰ってかかった。
「んでだよ!リアリティ追究すんなら、何で巫女の衣装がミニなんだよ!白雪姫つったら足さえ見えねぇロングだろーが!」
「馬鹿か。この方が可愛いからに決まってるだろうが。桐谷の脚が見えた方が集客率がグンッと上がる。現に貴様もこの姿に発情しただろう?」
....集客率って。荻島先輩はおばちゃんと同じ匂いがするぜ。しかもさっきの事言い出されるとぐうの音も出ねぇ...。
言い返せない正太郎を荻島は一瞥すると、さあ、始めよう。と皆を促した。
「ハァハァ、...ああなんと美しい。ゴクッ...ハァ、まるで眠っているようだ。...ハァハァ、私の口付けで、ハァハァ、目を醒ましておくれ。...ゴクッ...んぅー、」
「 ひいぃっ!? 」
「...はい、ストップ。...谷本、それじゃ変態だ...。ハァハァし過ぎだし、一々生唾を呑み込むな。見ていて気持ちが悪い。谷本の唾液の分泌が治まるまで、狩人のシーンにいけ。」
荻島の言葉に巫女都も正太郎もホッとした。特に巫女都は、亮輔の変態っぷりに鳥肌ものだったのでこの上無く安堵してる。正直、あんな感じなら、辞書越しでもキスしたくない。
「 ここで白雪姫派手に転ぶ。転ぶ時の声は、キャッ!だ。」
「.......はい。」
荻島の演技指導を受け、巫女都は狩人から逃げ惑いズザッと転ぶと足を引き摺るようにして後退りし、目に涙を溜めてセリフを言う。
「キャッ!....お願い、...殺さないで、誰にも言わないからっ!お、お願い.....」
「....っ、...好きだーっ!!!」
「 ひぃッ!? やだっ!いやぁー正ちゃんっ!!」
生足全開の巫女都に発情した狩人が、脚を掴みスカートの中に顔を突っ込もうとする。途端、ドゴッと鈍い音がして狩人の顔が床にめり込んだ。
「 荻島先輩、コイツ顔が潰れたみてぇだからメンバーチェンジで」
進まない稽古は流血騒動で終了となった。
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