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「...都!.....巫女都!」
自分を呼ぶ声で目を覚ますと知らない天井が目の前に広がった。
「.........どこ...?」
独り言の様に巫女都が呟くと側に居た琴子がそれを拾い話し始める。
「 病院よ。居眠り運転の車が突っ込んで来たんですって。...そのくらいですんで良かったわ。正太郎が助けてくれたのよ。」
その言葉に巫女都が自分の右腕を見ると、ギプスがされており、他には特に外傷は無さそうだった。
周りを見渡すと琴子と芳美しか居らず、正太郎が助けてくれたと琴子が言っていたのに、何故正太郎がこの場に居ないのか不安になり、巫女都は琴子に聞いた
「 ...ママ、正ちゃんは?」
巫女都が聞いた途端、芳美が手で顔を覆って嗚咽を上げ始め、琴子が慌てて芳美を抱き締め巫女都に背を向ける。
「.......なに...?...正ちゃん....どこ...?」
ただ事じゃ無い二人の様子に巫女都は身体を起こし、震える声でそう聞くと、見つめるさきの琴子の肩が震えだした。
「......もう、...居ないのよ、」
何かを耐える様な震える声でそういった琴子の言葉に巫女都の頭が真っ白になる。
「 ......うそ...でしょ...?」
琴子も芳美も何も答えてくれず、震える琴子の背としゃくり上げる芳美の様子に巫女都は絶望した。
「...っ...うそ、......正ちゃんっ...」
グッと堪えるが、巫女都のその目には既に溢れんばかりの涙が溜まっている。
「 ....やだ、正ちゃんっ....正ちゃんっ!」
巫女都が祈るような気持ちで正太郎の名を呼び続けるとベッドとベッドの間のカーテンがシャッ!と開いた。
「だあぁぁぁぁぁッ!!人を勝手に亡き者にしてんじゃねぇババァS´っ!! おめぇも口、押さえてんじゃねぇよ!!力強すぎて窒息するとこだっただろ!!」
ハァハァと荒い息を上げながら正太郎がそう怒鳴ると巫女都はキョトンとした顔をして固まった。
「 あっはははははっ、すっかり騙されて!もぉ駄目っ!可笑しいっ」
「 あっはは、やだぁもぅ、琴子が途中から笑うから、つられたじゃないっ!ああ、もう、お腹痛いっ!」
琴子と芳美が盛大に笑い、正太郎のベッドサイドでは琥太郎が腹を抱えてヒイヒイ言っている。正太郎は呆れた顔でそれを見ていたが、次の瞬間全員巫女都を見て口を噤んで固まった。
巫女都の目に溜まりに溜った涙が、その目から溢れだし、巫女都は顔を手で覆い隠し慌てて涙を止めようとしたが上手くいかなかった。
「...ごめん、巫女都。ちょっとふざけすぎたわ...。面白いかと思って...。」
滅多に泣く事の無い巫女都の泣き顔をみて、琴子が慌ててそう言い、芳美も琥太郎もオロオロしながら謝罪している。
「........巫女、」
正太郎が起き上がり、負傷した身体を引き摺る様に隣のベッドに移動して巫女都の頭に手を置いた途端、巫女都は正太郎に抱きつきびーびー泣き出した。
「 正ちゃんっ!うわぁぁぁぁっ、良かったっ!正ちゃんっ、」
「 い"っ!? ...っ...巫女っ...その乗ってる脚、折れてっからっ...」
「えっ!? ごめんっ!?」
驚いて泣き止んだ巫女都に正太郎は脂汗をかきながら微笑んでみせた。
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