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「 皆酷いよ!!僕、本当に正ちゃん死んじゃったかと思ったじゃん!!」
落ち着きを取り戻したら段々腹が立ってきて、巫女都はすっかり膨れっ面だ。
「本当だよ。人を死人にしやがって。二人共いい年こいてはしゃき過ぎだっつーの! い"っ!? 」
巫女の援護射撃をしたら、おばちゃんが折れた俺の右足に、中身がたんまり入ったエルメスのバーキンをドンッと落とすように置いた。マジでこっちのババァは容赦ない。
「 偉そうに口上垂れてんじゃ無いわよ。大体、仲良く骨折してどうするのよ。あんたは右足、巫女都は右手、バカじゃないの。折角助けたなら、無傷で助けなさいよ!」
「 本当。正太郎、普通こういう時って、自分は死んでも相手は無傷で助かるって相場は決まってるのよ。つくづく、王子様にはなれないねぇ。」
言いたい放題のババァS'に俺はムッとする。
おめぇらに言われなくたって俺だって無傷で巫女助けたかったつーのっ!たく、二人揃うとピーチクパーチクうるせぇなぁ。
正太郎の機嫌が降下するも、構わず琴子は続けた。
「 ...たく、夏は稼ぎ時なのに、骨折なんて...。...ハァ。折角神前式の予約が増えたのに、これじゃ家計が苦しくなるわぁ。」
「...だったらそのバーキン、売っちまえばいいんじゃないっすか。」
「 なにあんた、左足も折られたいの?」
「 すんませんでした。もう、二度とバーキン売れなんて言いませんので何とぞ...」
「宜しい」と持ち上げていたバーキンを琴子が降ろし、芳美は息子の危機にけらけら笑ってる。
正太郎は心の中でババァS'めとうんざりしていたら、巫女都が憤慨した。
「さっきから何なの?正ちゃん、ケガまでして僕の事助けてくれたんだよ?罰当たりだよ!僕は兎も角、正ちゃんに失礼な事ばっか言わないで!正ちゃんが助けてくれなかったら、僕きっと...」
「...巫女都、悪かったわ。まぁ、それもこれも二人共、無事だったから言える冗談よ。そんなに怒んないで?」
苦笑しながら宥めてくる琴子に巫女都がまだ不貞腐れていると、正太郎が笑いながら言う。
「巫女、んなに怒んな。おばちゃんの失礼さにはかなり免疫あるから何とも思ってねぇよ。それにおばちゃん、巫女が目覚ますまではマジでオタオタして泣きそうになってたぞ?」
「そうよ巫女ちゃん。琴子は昔っから素直じゃないの!ふふ、照れ屋さんなのよ、」
正ちゃんとよっちゃんがそういってきたから、ママを見てみると、真っ赤な顔をして「二人共うるさいっ!」と叫んでる。その顔見たら、心配掛けちゃって悪かったなって僕は反省した。
「今日は念の為、二人共入院だから、おとなしくしてるのよ?もう私は帰るから」
そういってママは、僕と正ちゃんの頭を順に撫でて病室を後にした。
「今の顔見た?ああいうとこ本当可愛い。じゃあ私も行くね。」
とよっちゃんはにこにこと手を振ってママを追ってって。僕は、というより、正ちゃんもだけど、つい流れで琥太ちゃんを見ちゃう。
「 俺? あー、俺は責任感じてるから、ここ泊まって、巫女都のベッドで一緒に寝よっかなと思って。」
「 今すぐ帰れっ!!」
「うっせーな、分かったよ。つまんねっ。看護師引っ掛けて帰ろっと。じゃな、巫女都と愚弟。」
へらへらと病室を出ると、通りかかった若い看護師に話し掛ける琥太ちゃんがゆっくり閉まっていくスライドドアから見えて、正ちゃんはため息を吐いてた。
「......マジで節操ねぇな、あいつ」
「......うん。昔の正ちゃん見てるみたい。」
「....................。」
俺は巫女の言葉をばっちり聞いたけど、聞こえないフリをした。
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