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「あれ?琥太ちゃん一人?ママとよっちゃんは?」
翌朝、退院の手続きを終えた琥太ちゃんが病室に迎えに来てくれたけど、ママとよっちゃんの姿が見えなくてそう聞いたら琥太ちゃんは苦笑いしてる。
「野暮用とか言いながら、旅行代理店の前で降りてったよ。」
「居ねぇ方が静かでいいだろ。」って正ちゃんが言うからうんって返したけど、息子の退院よりも野暮用を優先するママ達に少し寂しい気持ちを感じながら荷物を纏めた。
「失礼してもいいかな?」
開いている病室のドアがノックされて、見たら藤堂先生が居る。
「 あ、藤堂先生。御世話になりました。」
「支度出来たみたいだね。巫女都君が退院するの少し寂しいけど、また外来で会えるのを楽しみに待つとするよ。」
藤堂の言葉に巫女都が苦笑いしながら対応していると、その様子を渋い顔で見つめていた正太郎に琥太郎はにやにやしながら言う。
「 いつまでも子供みたいに妬いてばっかいると、面倒臭くなって巫女都、逃げちまうぞ。」
「うっせぇよ。んな事、おめぇに言われなくても分かってるっつーの。」
正太郎と琥太郎が小声でやり取りしていると藤堂が「佐倉君もお大事にね。」と巫女都の時とは打って変わってあっさりとした言葉を残し病室を後にした。
琥太郎が俺らの荷物を持ってくれて、車を入り口付近まで持ってきておくと先に行き、巫女は松葉杖を付きながら歩く俺に合わせながらゆっくり歩いてくれてっけど、急にくすくす笑い出したからなんだ?と思う。
「 なんか、僕が正ちゃんのペースに合わせて歩くの変な感じじゃない?いつもと逆だね、」
「だな。でも、巫女にはこのスピードが丁度いいんじゃね?」
「失礼な!もっと歩くの早いもん。スタスタ行っちゃうんだから!」
にやにやしながらそう言ったら巫女は途端にふくれっ面したけど、「でも、」と話し始めた巫女は今度はしょんぼりしてる。
「....松葉杖だと、手、繋げなくて寂しいね。」
「 治ったらイヤって程繋いでやっから。」
俺の言葉に満面の笑みでうんと答えた巫女の右手を凝視し、
「巫女も早く右手治して、今度はそっち貸して。」
「.......ん?」
「 昨日の、今度は右手でやって。」
「 っ!?......エッチ!」
そう言うと巫女は俺を置いてスタスタと行っちまったから、俺は笑いながらのんびり行くと、数メートル進んだ所で巫女が立ち止まり、ちゃんと俺を待っててくれた。
「お待たせさん。」
隣に並んでそう言うと、巫女は困った顔で微笑んでた。
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