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「.......なにやってんだお前ら、」
鈴木に引き連れられ林の中に来た琥太郎は物凄い鼻声でそう聞いてきた。
「.........琥太ちゃん、鼻水垂れてるよ。」
「クーラーのリモコンが見つかんなくてよ...。部屋が超ー極寒...。」
質問を無視して鼻水を指摘した巫女都に、腕を擦りながらそう言う琥太郎を見て正太郎は思わず、あ。と発する。それを聞き逃さなかった琥太郎は正太郎を睨むと吠えた。
「犯人はおめぇかーっ!!危うく凍死するとこだっただろうがっ!!」
「リモコンどこやりやがった!」と続けて聞いてきた琥太郎に、「引き出しの中。」と白状したら、
クソ野郎がと悪態を吐きながらも琥太郎は巫女都の肩を診る。
「 痛っっ、」
「あー、外れてんなこりゃ」
少し触って琥太郎は脱臼だと判断すると正太郎に聞く。
「 おまえまだ嵌められる?」
「...わかんね。けど、巫女、ギプスも割れてっから病院行った方が良いだろ。しくったらやべぇし...。」
正太郎の言葉に琥太郎は「じゃ行くか」と立ち上がり正太郎に手を差し伸べたら、その手を取って立ち上がった正太郎も途端に顔を歪めた。
「 ...痛っっ、....わりぃ、肩貸してくんね? 歩けそうもねぇ.....。」
苦笑いしてるも、脂汗をかきながら琥太郎にそう言った正太郎を巫女都は心配そうに見つめた。
琥太郎も180㎝を超す長身だが、それより更に上背のある正太郎を一人で担ぐのは至難の技だ。巫女都を支えるべきか琥太郎に手を貸すべきか、オロオロとする鈴木の様子を察した巫女都は、
「僕は自分で歩けますから、正ちゃんを支えてあげて下さい。」
そう頼むと巫女都は立ち上がり、困った様子で鈴木を呼んだ。
「鈴木さんすみません、装束少し整えて腰紐結い直して貰ってもいいですか...?」
巫女の言葉を聞いた俺は、鈴木さんに俺がやりますと断りを入れて巫女にこっちに来いと呼ぶ。
琥太郎に支えて貰いながら正太郎は巫女装束の白衣の合わせをピッと直して緋袴を上げると、腰紐に手を掛けた。
腰紐を結び直す正ちゃんの手が僅かに震えていて、それを見た僕はそっとその手に自分の左手を重ねる。
「......っ...悪かった、.......ごめんっ...」
振り絞る様に呟いた正ちゃん。僕は胸がギュッとと締め付けられて、フルフル首を振ると精一杯の笑顔で正ちゃんに伝えた。
「 助けてくれてありがと。...いつも、いつも...ありがと、正ちゃんっ。」
正太郎はもう二度と誰にもこの紐を解かせないという想いを込めて、解けない様に一層力を入れてその紐を固く結び直した。
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