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「 Buenos dias! 情熱的な10日間だったわぁ!!」
数日後、琴子夫妻と芳美夫妻が出立時より、派手な装いで帰宅し「 はい、これお土産。」と琴子が正太郎に何やらビンを手渡した。
「...ん?...Olive oil。...いや、おば...琴子さん、オリーブオイル貰っても俺料理しねぇんだけど、」
「 やだー、するじゃない!巫女都を美味しく食べる為に使いなさい!なーんてねっ!」
10日で食べ飽きちゃった?あははと盛大に笑い合う琴子と芳美をジト目で見ながら俺は思う。
...ババアS´情熱の国で下品さに磨きが懸かってんじゃねぇか...
「ジョークよ、ジョーク!はい、本当はこっち!」
と巫女都と正太郎に、ロエベの揃いの長財布を手渡した。
「わぁ!正ちゃんとお揃いうれしぃっ!ありがと!ママ、よっちゃん!大事にするね!」
嬉しそうにニコニコする巫女都に琴子は当然のように言い放つ。
「それ、高かったから8月中は祭事に進んで参加して元取ってちょうだいよ!」
...それじゃお土産じゃ無くてバイト代の先払いじゃん。
巫女都も正太郎も同じ事を思ったが、琴子に何を言っても無駄だろうと口を噤む。
「あー、疲れた。今日はお寿司でもとって、冷酒で一杯やりましょ?巫女都、鮨翔さんに電話して握りと刺身7人前注文しといて。あと、渥美屋さんに、八海山と麒麟山一升ビンの二本ずつ持って来て貰ってね」
じゃあ、荷物置いて着替えたら集合!と散っていく桐谷夫妻と佐倉夫妻に巫女都と正太郎は顔を合わせて苦笑しが、次の瞬間、巫女都は正太郎の手を取り、ふと淋しそうな顔をする。
「...あっという間だったね。...今日から別々と思うとちょっと淋しいな。」
「...だな。でも、明日も明後日も、...毎日迎えに行くよ。」
正太郎が頭を撫でながら言うと、巫女都は綺麗に微笑んだ。
じゃあ、後でねと二人は別れ、巫女都は琴子の言付けに従い注文の電話を掛けると、客間にグラスや座布団を用意したりと忙しなく動く。
暫くして佐倉家総出で桐谷家を訪問し、飲みながら訪れた観光地や、スペインバルの話し等をうんざりする程聞かされた。
飲み始めて大分経った頃、正太郎の父、政虎 【マサトラ】が酔って芳美の乳をガバッと揉み出した。
「 いいじゃ~ないのぉ~」
「ダメよぉ、ダメ、ダメっ!」
それを見た桐谷夫妻は盛大に笑い、巫女都は赤面して俯く。正太郎と琥太郎は慌てて二人を引き離すと揃って言った。
「「 息子の前で突っ込み所満載のイチャイチャすんなっ!!」」
「 うるせぇっ!!妹作ってやっから楽しみにしてろよ?今日は娘作る為に浅く出すからな?」
「 いやん!お父さんたら!それ、いつも言ってるぅ!」
「「 う"おぇぇぇっ!!」」
政虎と芳美のやり取りに息子二人は盛大に嘔吐く。もう何年も妹作りに励んでやがる。いい加減諦めろよと正太郎はげんなりした。
「...妹、要らないっす。マジで勘弁して貰えないですかね...胃液が凄げぇ勢いで上がってくるんすけど...。」
胃を擦りながら言うと、巫女の親父さんがスッと俺に何かを手渡してきた。
ん? ...太田胃散。有難う、良い薬です!...てか。
「ありがとおじさん。でも、これ臭ぇから要らない」
天然な巫女の親父さんの親切を断ると、巫女がツンツン引っ張ってきた。
「妹、楽しみだねぇ!僕、正ちゃんそっちのけで可愛いがっちゃうかもー!」
キラキラ眼で言う巫女の言葉に、俺は本気で慌てて親父とお袋を引き離した。
夜も大分更けた頃、漸くお開きになり、巫女都は正太郎と別れ自分の部屋で過ごしている。
...何かずっと正ちゃんと寝てたから一人じゃ寝れない。...正ちゃん家行こうかなぁ。...でも1人で出歩くなって言われたしなぁ。
まごまごと考え込んでいたが、やはり会いたい気持ちが募り、巫女都は携帯だけ持ち家を後にした。
母屋を出て神社の境内を抜ける時、先日の事を思い返すと薄ら寒いものを感じたが、足早に石段を降りる。
「 巫女!」
「 正ちゃん?」
石段を降りきった所で正太郎に声を掛けられ巫女都は急々と駆け寄った。
「 1人で出歩くなって言っただろ!...ったく。」
「 ...ごめんね。でも、...会いたくって。」
苦笑する巫女に俺も。とだけ言うと二人で笑う。なんか、離れてっと落ち着かない。俺と巫女はニコイチだ。
「 正ちゃん、階段上がるの大変だし正ちゃん家行く?」
「 ...あー、...バカップルが妹作ってっから巫女ん家行く...」
サラッと佐倉夫妻の性事情を告げると、「わぁ楽しみ」と巫女都ははしゃいだが、正太郎は笑えやしない。神社の境内に差し掛かった時、正太郎は本殿を見つめて願った。
....妹が出来ませんように。いや、今更弟妹が出来ませんように!
切実な神頼みだった。
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