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「 ねぇ、正ちゃんはやらないの?」
巫女都の言葉に正太郎はビクッと肩を跳ねさせた。
土産の代わりに琴子は宣言通り、8月の祭事に巫女都と正太郎を駆り出す事に決め日程を言ってきた。
それに合わせて夏休みの課題を早々に終わらそうと、巫女都が言い出し現在正太郎の部屋で巫女都は黙々と課題に取り組んでいるが、正太郎はダラダラと漫画を読み耽っていた所、巫女都にそう声を掛けられた。
「.....俺は1人でちょこちょこやるからダイジョウブ...。」
「 ...んー?...なんか隠してるでしょー?」
訝しげな目で見てくる巫女に、俺はギクッとなりそーっと巫女に背を向ける。
....言えねぇ。あの時シンに夏休みの課題やって貰う代わりに巫女を貸し出したなんて。
以前、友人の慎一郎に土下座で頼まれ、巫女都に女装させてダブルデートの為に1日貸し出す際、引き換えとして夏休みの課題を正太郎の筆跡を真似て全て慎一郎がやると言う条件で了承した。
あの時はお互いの両親が揃って旅行に行く事も、毎年祭事で忙しい巫女都と昼夜問わずべったり要られる等とも露程思っていなかった正太郎は、今になって物凄く慌てている。
背を向け言葉を発しない正ちゃんの上に僕は馬乗りになり問いただす。
「 正ちゃん!何、隠してるの?吐けぇー!吐いて楽になっちまえーっ!」
「 うわっ!? やめっ、やめろって!! 擽ってぇっ!」
脇腹を擽りながら言う巫女の腕を俺は慌てて掴む。
「 じゃあ、言う?」
「...あー、...シンが代わりにやってくれてんだよ。...俺、骨折してるから。」
「...柿崎くん?...ん?ちょっと待って、正ちゃん折れてるの足じゃん!...やっぱ何か、隠してるでしょ?」
ダメかーっ!上手い言い訳なんかねぇかな...。
正太郎は必至で脳内検索するも、中々上手い言い訳は見つからず開き直る事にした。
「 巫女が絶対怒んないって約束出来るなら話す。」
「...事と次第によるよ。」
巫女都の返答に正太郎がじゃあ話さない。とそっぽを向くと、巫女都は渋々了承した。
「...約束したからな?絶対怒るなよ?...巫女がシンの彼女のフリして出掛けた時の条件で、課題全部やってくれるって言われて...それで了承した...」
「 あーっ!!ズルい!!あんな格好して出掛けたの僕なのにー!あの時...あ、.....。」
僕はあの日起こった事を思わず口走りそうになったが、詳しい経緯を正ちゃんに話していない事を思い出し、慌てて口を閉ざした。
...結局、柿崎くんと 2人きりで出掛けたの正ちゃんに言ってなかったんだった...。しれっと怒ったフリしとこ...。
「...正ちゃんばっかズルい。...僕、課題やろーと。」
正ちゃんの上から降りてローテーブルに戻ろうとしたら、ガシッと腰に腕を回され捕まった。
「 ...今、なんか言おうとして隠しただろ?」
「 ...なっ!....なんの事かさっぱり......。」
「...へぇー、巫女俺に隠し事とかすんだ。ふーん。」
ジト目で見やる正太郎に巫女都は盛大にたじろぐと、正太郎と同じように条件を出した上で、もう観念しようと重い口を開く。
「...正ちゃんが絶対怒んないって約束してくれたら話す......。」
「 事と次第によるな。」
自分が言ったセリフをそこまま返されて、僕もじゃあ話さない。と正ちゃんと同じセリフを返すと、ハァとため息を吐かれた。
「....怒んねぇから言ってみろ。」
「....絶対だよ?...あのね、あの日、柿崎くんの友達と待ち合わせした場所でごたごたがあって、その場でバイバイする事になっちゃって...そのぉ、...結局2人で出掛けたの」
「 はあっ!? 聞いてねぇけど!?」
「......うん。....今言ったから、」
怒らないといったにも関わらず、聞かされた事実に正太郎は盛大に怒り出す。
「 2人きりって、デートじゃん!? つか、浮気じゃん!!」
「う、浮気じゃ無いもん!! だ、大体、正ちゃんが課題と引き換えに僕の事、1日貸すって言ったからいけないんじゃん!しかも怒んないって言ったのに!!」
そっぽを向いて不貞腐れた正太郎を宥めるのに、この後かなりの時間を要した。
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