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週末、巫女都は正太郎と共に柔道大会へと足を運んだ。
「 わぁ〜っ!! 正ちゃん見てっ! 凄い迫力っ!! ...僕もやりたいなぁ。」
目をキラキラさせて見ている巫女都とは対照的に、正太郎は頗る不機嫌だ。
...んで、俺が休みの日にわざわざ足を運んであいつの応援せにぁならん。
そんな中、巫女都を見つけた亮輔が側に来て声を掛けた。
「来てくれて有難う。桐谷の顔見たら俄然やる気でた!」
闘志を燃やす亮輔に巫女都が笑顔で頑張って下さいとエールを送るのを見て、正太郎はつまらなさそうな顔をする。
亮輔はそんな正太郎を一瞥すると、巫女都に「頼みがある」と言ってきた。
「 もし、この大会で優勝できたら、来週末俺と二人で出掛けてくれないか?」
「 ん?......別にいいで....」
「 はぁ? 駄目に決まってんだろっ!!!」
巫女都の言葉に被せる様に正太郎は亮輔の申し出を拒否したが、巫女都はキョトンと正太郎を見てる。出掛けるくらい別に構わないだろうと、断る理由が分からない。そんな顔をしてる巫女都にお構い無しに、正太郎亮輔に噛みついた。
「 てめぇ、俺の前で堂々と巫女口説いてんじゃねぇ!」
「一々佐倉に承諾を得る事じゃないだろう。それとも、俺と出掛けたら桐谷が靡く程度の付き合いなのか?...兎に角これが高校生活最後の大会なんだ。士気を高めたい。」
殊更真剣に言う亮輔に圧倒され、二の句を継げずにいると、ふと出場選手の中に高校柔道会で名の通るやつを見つけて俺は考える。
ここでこいつの申し出を拒否し続けたら、ビビってるみてぇでみっともねぇし、あいつが居りゃ間違いなく優勝は無理だろ...。
「 分かった。但し、優勝したらの話しだからな?他は絶対に認めない!」
言い切る俺に谷本は「分かった」と言うと、あろうことか巫女を抱き締めやがった。
「 必ず優勝するから見ててくれ。」
「 触ってんじゃねぇよ!!」
急な事に驚いて固まった巫女を慌てて谷本から引き離したが、谷本は性懲りも無く巫女の髪を撫でやがる。クソが。その手へし折ってやりてぇ。
「鋭気養えた。頑張るから」
「はい! 応援してます!」
巫女都が笑顔で返すと、亮輔は選手陣の中に戻って行くが、尚も笑顔で亮輔の後ろ姿を見つめる巫女都に正太郎はいじける。
「 応援してます!...って、なんだそりゃ。巫女はあいつとのおデート楽しみってか?...いつからそんな浮気者になったんですかぁ?」
「...浮気者って。正ちゃん考え過ぎだよ。先輩は大会終わったら気分転換に一緒に出掛けて欲しいってだけでしょ?...本当、心配性なんだから」
「...へいへい、器が小さい男で悪うござんしたね。」
不貞腐れる正ちゃんに僕はハァとため息を吐くと、キュッと正ちゃんの手を取る。
「...心配しなくても、浮気なんてしないよ?正ちゃんが一番。二番目以降は永遠に居ないから。」
苦笑しながら言う巫女に俺は知ってると返す。そんなん当たり前だ。そこはちっとも疑ってねぇが、嫌なもんは嫌だ。
勝ち抜き式トーナメントを亮輔は危なげなく勝ち進み、午前の部を終え、巫女都はそれを嬉々として見つめ正太郎は悶々としていた。
手汗をかいたからと巫女都は手を洗いに行き、戻ると亮輔の姿を探す。昼休憩に入った亮輔を捕まえると、巫女都は持参して来た差し入れを亮輔の前に差し出し笑顔で言った。
「 先輩、凄っく格好良かったです!これ、レモンの蜂蜜漬けなんですけど、良かったら。」
タッパーを開けると亮輔が自分の手を見て少し躊躇ったのを見て、巫女都はそこから自分の手でレモンを1つ取ると亮輔の口元に差し出したが、瞬間、その手を見て固まった亮輔に巫女都は言う。
「 今、手洗って来たから大丈夫ですよ?どうぞ」
その言葉を受け、顔を赤らめた亮輔がパクっと巫女都の指ごと口に入れたのを見て、正太郎は慌てて巫女都を引き離す。
「 このムッツリ野郎っ!!なに、どさくさに紛れて厭らしい事してんだ!! おー、バッチィ、バッチィ。巫女、手洗いに行くぞ!!」
憤慨しながら松葉杖でどうやって巫女都を連れていくか悩んでいる正太郎に巫女都は苦笑して、亮輔に頭を下げると自ら歩を進めた。
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