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「 ただいまー。」
「 遅えっ!! 」
巫女都が部屋に入るなり正太郎は仁王立ちでそう言った。チラと時計を見た巫女都はうんざりする。
「....まだ7時だよ?」
「 何時に出て行ったと思ってるんだ!!...お?」
ガミガミ怒る正ちゃんに僕は塩羊羮の箱をグッと押し付けた。
「 お土産。正ちゃん塩羊羮好きでしょ?」
「...お?おお。...鬼平の塩羊羮って、 おまっ、日光まで行ってきたのかっ!?」
包装の店名を見て行き先が日光だと分かり、俺は思いの外遠出していた事に盛大に驚いた。
「日光までずっとあいつの背中にしがみ付いてたのか!?」
「 うん。下路だったけどスイスイって以外と早く着いたよ?...ん?正ちゃんなんで先輩がバイクだったって知ってるの?」
「...んな事、どうでもいいんだよ。...あの変態野郎め。計算高いムッツリだったんだな...」
正太郎は顰めっ面でぶつぶつ言うと、巫女都の胸元をくんくん嗅いで確かめる。
「だあぁぁぁぁぁっ!!あいつの匂いが移ってるじゃねぇかっ!!風呂行くぞ、風呂っ!!」
「えーっ、ちょっと休みたいー!」
帰宅したばかりで疲れてそう言う巫女都に煩い!!と一喝し、正太郎は風呂行きを決定した。
巫女都の服をバサバサ脱がすと、正太郎はその身体を隈無く観察する。
「....なんもされてねぇだろうなぁ...?」
不躾にジロジロ見て回る正太郎に巫女都はハァとため息を吐くと、正太郎を脱衣所に取り残し風呂へ入った。
頭の先から足の先まで正太郎が丁寧に洗い部屋に戻ると、先程と同様巫女都の胸元をくんくん嗅ぐ。
「 よし!! あいつの匂い無くなった!」
満足そうに笑う正ちゃんを苦笑しながら見ていたけど、昼前話した事が僕の胸に燻っていていて、思い出したら気になって仕方なくなった。
...聞いてみようかな。
「...ねぇ正ちゃん、進路ってどうするの...?」
「...あ?...んだよいきなり。進路なんて巫女と同じに決まってんだろ?」
当然の様にそう言った正ちゃんに、僕は不安になった。自分に合わせて無理をしているのでは?自分が正ちゃんを縛り付けているのでは?とそんな風に考えちゃう。
前に同じ大学に行くでしょと聞いた時、一般家庭の自分が何故神職の資格を取るのだと言われた事をふと思いだして、それが正ちゃんの本心なのかも知れないと思った。
「...正ちゃん、僕に合わせ無くていいんだよ?ちゃんと正ちゃんのしたい事して欲しい。僕なら大丈夫だから。」
「...なんかあった?」
訝しげに聞くと、巫女は首を振ってっけど、なんか不安そうだ。だから溜め息を吐いたものの、真剣に言ってやる。
「なにがあったか知んねぇけど、無理してねぇし、したい様にしてる。だから大学は巫女と同じ所に行く。」
「...一緒に居たいってだけで進路決めちゃ駄目。正ちゃんの夢を叶える為の道を選ばなきゃ。」
「 じゃ、尚更同じ所だ。」
迷いなく言い切った俺に、巫女は「えっ?」と聞き返してきた。
「 俺の夢は巫女とあの神社一緒に継いで、末長く幸せに暮らすこと。神職の資格取んのは俺たちの未来を見据えて決めてんの!」
「...5年後、10年後、僕たちがどうなってるか分からないじゃん......。」
僕は先輩に言われた事をそのまま正ちゃんにぶつけてみた。不安げな顔で見つめる僕とは対照的に、正ちゃんは自信たっぷりの顔をしてる。
「 分かるよ。ずっと一緒に居る。巫女は神職者になるつもりなのに誓いを破る気か?俺たちは神様の前で誓い合っただろが。5年後、10年後、...来世もずっと一緒に居るっつったろ?」
「.....正ちゃん。そうだよね、うん。...誓い、破らないよ!ずっと一緒に居る!!」
正ちゃんの返答を聞き、今まで不安に感じていた事が嘘みたいに僕の中から消えていった。正ちゃんは、いつもこうやって僕を引っ張っていってくれる。
「 じゃあ正ちゃん、後一年、頑張って勉強しないとね?」
「...う"っ!...ガンバリマス、」
二人の未来の展望は明るいものな気がした。
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