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「 巫女、帰るぞ。...今日ちょっと寄りてぇとこあるんだ」
「...あ、えっと...、ちょっと用事あるから正ちゃんだけで行って。」
しどろもどろにそう言う巫女に俺は疑いの目を向ける。2日くらい前から、巫女は用があると下校を一緒にしなくなった。
一緒に行くっつっても駄目の一点張りで、3日目の今日、理由も言わずにまた先に帰れと言う巫女に俺は堪忍袋の緒が切れた。
「 用って何だよ?...もう3日だぞ?いい加減にしろよ!1人で出掛けたけりゃ、ちゃんとした理由を言え!!」
俺の怒声に巫女はビクッとなるも、眼を右往左往させて理由を話して来ない。それに頭にきて、勝手にしろ。と俺は教室を出た。
...怒らせちゃった。今夜謝りに行こ。正ちゃんと別々に帰るのも、もう限界だな。今日必ず買って帰ろう!
僕は2日後に迫った11月16日 正ちゃんの誕生日
プレゼントを1人で選びに出掛けている。
付き合ってから初めて一緒に祝う誕生日だから、想い出に残る物を内緒で選びたいと思ってあっちこっち回ってみたものの、中々納得のいくものが見つからないでいる。
....財布にキーケース、アクセサリーどれも在り来たりだしパッとしないなぁ。
1人、ブラブラと見て回っていたが、やはり決めかねていると後ろから声を掛けられた。
「....巫女都くん?」
「 あ、藤堂先生!」
ばったり出会った藤堂先生はラフな格好をしていて、僕はお買い物ですか?と聞く。
「非番の日に色々買っておかないと中々行かれなくてね。今日は1人かい?」
「 はい。...正ちゃん明後日誕生日で、そのプレゼントを選びに、」
「 そうなんだ。そんな時くらいしか別々じゃ無い訳だ」
先生の言葉に僕は苦笑する。いつもはニコイチみたいにずっと一緒にいるから、僕だって変な感じがしてる。
「...実は中々プレゼントが決まらなくて、別行動も今日で3日目なんです...。しかも内緒にしたくて理由を言わないでいたら、正ちゃん怒っちゃって...」
「 はは。彼らしいね。」
「 巫女っ!!!」
藤堂先生と談笑していると、正ちゃんの怒鳴り声が響いて、僕は弾かれたように声の聞こえた方を向く。
「 正ちゃんっ!? 何で居るのっ!?」
会話を聞かれたのではと慌てる巫女都を見て、正太郎は顔を顰めた。
「...俺に隠したかった理由って、それ?」
それと藤堂先生を指し示したのを見て、僕は慌てて否定する。
「 ち、違うよ!! 藤堂先生とは偶然あったんだよ?」
「あっそ。じゃ、何しにこんな所まで来たの。」
「...それは...今は言えない」
巫女都の返答に正太郎の目が据わった。何聞いても言えない、用があると、のらりくらりと躱しやがって。
「...あっそ、じゃあもういいや。存分に用事とやら済ませろよ。...ああ、それから、夜謝りに来んなよ?どうせ悪いと思ってねぇんだから。」
それだけ言うと正太郎は巫女都に背を向け歩き出した。
「正ちゃん!ちょっと待って!!」
「 んだよ!! 触んな!!」
慌てて走り寄って腕を掴んだけど、正ちゃんは僕を振り払った歩いていっちゃう。
正ちゃんに触るななんて言われた事は今まで無かった。僕はその厳しいものの言い方に、茫然自失になって追い掛ける事が出来なかった。
「 巫女都くん、佐倉くんに1人で出掛けていた理由をきちんと話した方がいい。」
先生にそう言われて迷う。内緒でびっくりさせたかったから。
「佐倉くんは君と過ごす時間を何よりも大切にしているから、隠し事されて別々に過ごしてまで貰いたい物なんてきっと無いと思うよ?...それよりも仲直りして、一緒に出掛けて選んだ方が喜ぶし、想い出にもなると思うけど」
先生の言葉に胸が苦しくなった。正ちゃんに喜んで欲しい一心でプレゼントを選びに来ていたけれど、その過程で正ちゃんを傷付けていた事に僕は漸く気がついた。
「...僕より、藤堂先生の方が正ちゃんの事よく分かってる。...傷つけるつもりじゃ無かったんです。ただ純粋に正ちゃんの喜ぶ顔が見たかっただけなんです...。凄く自分本意な考えで動いてしまって、正ちゃんの気持ち、先生に言われるまで気が付きませんでした...。」
「 佐倉くんの事をよく分かってる訳じゃないよ。彼は全てが顔にでてるから。ふふ、いつも君達2人を見ているとオー・ヘンリーの賢者の贈り物を思い出すんだ。今度読んでごらん?君達にとても似ているよ。」
「...じゃあ、今度。僕、正ちゃんにちゃんと話します。藤堂先生の言う通り、2人で選んだ方が正ちゃん喜びます。ありがとございました。」
正太郎に来るなと言われたが、会ってきちんと話をしようと巫女都は思っていた。
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