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藤堂と別れた巫女都は迷わず正太郎の家へ向かい、インターフォンを押すと芳美が出てきた。
「 あら巫女ちゃん。ふふ、インターフォンなんか押してどうしたの?入ればいいのに?」
普段は直接入ってくる巫女都の奇行に芳美はくすくす笑うと中へ入る様促した。
「...よっちゃん、正ちゃん居ないの?」
玄関に正ちゃんの靴が無い事に気が付いてよっちゃんに聞いたら、「一緒じゃ無かったの?」ってキョトンとされる。
...正ちゃんどこ行っちゃったんだろ。
「中で待ってれば?」と言ってくれたよっちゃんの申し出を断り、僕は神社の石段の隅に座って正ちゃんの帰りを待つことにした。
日が暮れて寒さが一層厳しさを増してきた頃、携帯が鳴って、着信はママだった。連絡も無く1度も戻らない僕を心配してて、ママに事情を話してもう少しここで正ちゃんを待つ事にしたけど、余りの寒さに手を擦ると寂しさが募ってくる。
「.....正ちゃん。」
ぽつりと呟く僕は膝を抱えて踞った。
暫くして「巫女都、」と自分を呼ぶ声に顔を上げると、ママが困ったような顔で笑ってる。
「 もう遅いから家入りなさい。正太郎帰ってきたら連絡くれる様に芳美に言ってあるから。」
ママの言葉に僕はふるふる首を振った。正ちゃんが帰ってきたらすぐにごめんねって言いたい。
「...まったく。また熱出たらどうするの?今熱出したら明後日、正太郎と一緒に居られなくなっちゃうわよ?......帰ろ?」
ママに促され渋々立ち上がったら、足の先が冷えきっていてじんじんと痛かった。
石段を登りながら巫女都が何度も振り返るのを見て琴子は苦笑していた。まったくこの子達は何歳になっても昔のままで。喧嘩する度にこう。
翌朝、正ちゃんは僕を迎えには来なかった。
いつも通り境内の掃除をしていると、ママが慌てた様子で時刻を伝えて来て、僕は急いで学校へ行く支度をして佐倉家を訪れたけど、戸惑いがちによっちゃんから紡がれた言葉に愕然とした。
......帰ってきてない?......ウソでしょ。
知らされた真実に胸の中がギュッとなる。
昨晩、正ちゃんに連絡したけど電話には出ず、メッセージも既読無視されて返信はくれなかった。
あからさまに避けられているのは分かっていたけど、まさか家にも帰らなかったなんて。
...きっと、僕が来ると思って帰らなかったんだ...。...そこまでして会いたく無いなんて。
キュッと手を握ると心配するよっちゃんに曖昧に笑ってありがとうって言って、僕は1人で通学路を進んだ。
駅までの道程、僕の足取りは重い。正ちゃんにこんなに避けられた事は今まで無かった。喧嘩をしても、次の日まで引き摺って別々に登校するなんて事だって今迄1度も無かったのに。
それ程迄酷く怒らせて、深く傷つけたんだと思うと遣る瀬無い気持ちだった。
電車の車内で混雑に押し潰された時、車道を歩いてる時に後ろから来る自転車の余りの近さに驚いた時、上げたら切りが無いくらい一々正ちゃんが隣に居ない事を思い知らされて、そしてどれ程の事から普段自分が当たり前の様に正ちゃんに守られて居たかって事に気付かされた。
気づけば落ち込むを繰り返し、学校へ着く頃には僕の気持ちはどん底まで落ち込んじゃてて。
教室に入って正ちゃんの姿を探すも、遅刻ぎりぎりの時刻にも関わらず、その姿は見当たらなかった。
....正ちゃん、来ないのかなぁ。
ハァとため息を吐いて席に着くと、智くんが声を掛けてきた。
「巫女ちゃん、はよ。あれ?正太郎は?」
「...正ちゃん、昨日帰って来なかったの。智くん家に行ったんじゃ無かったんだ...。」
正太郎の行方を智の所だろうと踏んでいた巫女都がその所在が分からない事を不安を感じていると、チャイムと同時に正太郎が入って来た。
正太郎の姿を見てホッとするも、目も合わせて貰えない事に巫女都は酷く落ち込んだ。
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