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教室を出た正太郎はイライラしながら1人電車に乗っていた。
...しゃあねぇ。またあいつのとこ行くか...。
昨日巫女と藤堂にばったり出くわした場所に着くとイライラは更に募る。足早にそこを抜け、路地に入るとアパートのインターフォンを押した。
「...はい、...んだよまたおまえか。今日はなんだよ、...おい!?」
中から出てきた琥太郎の言葉を無視して上がり込むと、テーブルに置いてあったタバコに手を伸ばし火を着けた。
「 い~けなぃんだいけないんだぁ~!巫女都にチクってやろ。正太郎が禁煙破りましたって!」
「...お好きにどうぞ。ってか、今日も泊めて。」
「今日は女来るから無理。」
言い切る琥太郎を一瞥して思う。
...今日はって、昨日も来たじゃねぇか...。自堕落な生活してんな...こいつ。
無言のままタバコを吸っていると、琥太郎がにやにやしながら見てきやがる。
「 まーだ巫女都とケンカしてんの?2日も放っといたら巫女都誰かに盗られるぞ?」
「...ケンカじゃねぇし、放っといてんじゃなくて放っとかれてんの...」
俺の言葉を聞いて琥太郎は凄え笑って、出掛ける支度をしながら言った。
「 講義あっから行くわ。出るならカギ、ポスト入れてけよ?」
「 あいよ。」
1人になった部屋で俺は巫女の事を考えていた。
この3日、理由も言わずにどこかへ行っていた上、昨日偶然だと言ってはいたが藤堂と居た事が本当に偶然なのか、って考えても答えの出ない事がぐるぐる頭を駆け巡ってる。
家に帰ればきっと巫女が来て、またいつかの様に巫女に酷い事をしちまうかもと思うと、一緒に居 る事も、家へ帰る事も出来ねぇでいた。
....小せぇなぁ、俺。
猜疑心に駆られ巫女の話しすら聞けなかった自分の心の狭さに俺は失笑する。
暫くボーッとして、もう何本目か分からないタバコを吸いながら考えていると眠気に教われ火を消した。
昨日も同じように考えあぐねて眠れずにいた正太郎は、落ちるように眠りにつく。
どれ位そうして居たか分からないが、首筋にチリッとした痛みと肌を舐める舌の感触で正太郎は眼を覚ます。
「....ん、おい!?なんだよ!!」
「 あ~あ、...残念、起きちゃった?」
見知らぬ女が俺の上に跨がり首筋を舐めていた。
それを後ろで琥太郎がからから笑ってて、俺は睨み付けながら、女を退かす。
「 今何時?」
「...あー、もうすぐ10時30分。つか、いつから寝てんだか知らねぇけど、やりてぇから早く帰れ。」
あっさりと言う琥太郎に、居ても居なくてもおめぇはやりたきゃやるだろがと悪態を吐くと俺は琥太郎の部屋を出た。
.....しゃあない、帰るか、
重い足取りで家路を進むと、クラクションが鳴らされて高級車が横付けされたと思ったら、窓が開いて中から藤堂が顔を出した。
「げ!?....またおまえかよ」
「ははっ、露骨だね。高校生がこんな時間にうろうろと感心しないな。」
「...うっせぇ大きなお世話だ。それに今、帰るとこだよ。」
俺が言いながら車内をチラチラと確認すると、それに気付いたのか、藤堂がくすくす笑ってる。
「巫女都くんなら乗って無いから安心しなさい。」
「 っ!? ...別にんな事思ってねぇよ!! 大体巫女が乗ってたとしても関係ねぇし!」
図星を差されて言った俺の言葉に、藤堂は訝しげな顔をした。
「巫女都くんと話をして無いのかな?...じゃあ、これは君にあげよう。」
藤堂が窓からスッと差し出したもんを受け取り、俺訝しげな顔をして聞く。
「...本?...つか要らね。読まねぇし、あんたに貰う理由がねぇ。」
「 理由ならあるよ?巫女都くんから聞いたけど、日付が変わったら誕生日なんだろ?...それ、本当は巫女都くんにあげようと思っていたんだけど、君にあげるよ。それを読んで今度は一緒にプレゼントを選んだらいい。」
「...プレゼント?」
巫女がこの3日、誕生日プレゼントを内緒で購入しようとしていた事を藤堂は教えてくれて、それを聞いた俺は胸が締め付けられる様な思いがした。
送ると言う藤堂の申し出に、正太郎は電車の方が速いからいいと断り駆け出したが、直ぐに藤堂の元に戻る。
「教えてくれてあんがと」
それだけ言うと、今度こそ駅までの道を走った。
「君の為じゃ無くて、巫女都くんが可哀想だから教えてあげたんだけどね。」
苦笑しながら言った、藤堂の言葉は正太郎には聞こえなかった。
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