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ガチャッと玄関の鍵が開く音に巫女都は弾かれた様に顔を上げて時計を見た。
...11時50分。....正ちゃん帰ってきた...?
ドタドタと階段を駆け上る音を聞き、僕は慌てて眼を擦り涙を拭う。
「 巫女っ!!」
ハァハァと荒い息で部屋のドアを開けるなり僕の名前を呼んだ正ちゃんの顔を見た途端、止まった筈の涙がじわりと滲み出てきて、僕はまた顔を膝に埋めた。
「....おかぇりっ....っ、」
それだけ言うと次の言葉を紡げなかった。
ローテーブルにはアルバムが置いてあって、巫女がどんな気持ちで待っててくれたかを考えたら苦しくなった。俺は巫女都の所まで行き、その身体を囲い込む様に座って頭を撫でる。
「...ただいま。遅くなって...ごめん。」
正ちゃんのその言葉を聞いたら安堵から途端にボロボロと涙が零れてきて、それを止めたくて僕は肩を震わせながら膝に置いた手にギュッと力を入れたけど、次から次へと溢れる涙を止められなくて、嗚咽を漏らさない様に必死で堪えてた。
「.....巫女、顔上げて?」
「.......っ、」
正ちゃんの言葉に顔を上げずに首をふるふる振ると僕は懺悔した。
「...内緒でっ...正ちゃんに誕生日プレゼント選びにっ...行ってたのっ、...っ...でもっ...迷っちゃって...結局買えなかったっ...正ちゃんにっ...イヤな思いさせてまで行ったのにっ...ごめんねっ...ごめんね正ちゃんっ、」
「.....巫女っ、話しちゃんと聞かねぇでごめんっ!仲直りしよ?...なぁ、顔上げて?」
正ちゃんの言葉に僕は膝に眼をぐりぐり擦り付けて涙を拭ってから、おずおず顔を上げたけど、困った様に笑う正ちゃんの顔を見た途端、再びじわりと涙が出てきちゃってガバッと正ちゃんに抱き付いた。
「おわっ!?...たくっ、顔見せろって...。」
「 正ちゃんっ、どこもいかないでっ、おいてかないでっ...」
「...悪かった。...でも先に俺を置いてったのは巫女だから、これでおあいこな?」
俺は肩越しに「うん」と頷いた巫女からそっと身体を離し、その頬を両手で包んだ。
「...あ~あ、顔ぐちゃぐちゃ。」
巫女の顔を見て苦笑いすると、巫女も肩を竦めて笑ってた。
チラッと時計を確認したら、もう12時を回っていて、僕はにっこり笑って正ちゃんに一番言いたかった言葉を伝える。
「 正ちゃん、お誕生日おめでとう!」
「 おう、あんがと!なぁ、写真撮ろうぜ?」
「 え~、やだぁ!...僕、絶対に顔酷い事になってるもん!」
渋る巫女にを良いから良いからと言いくるめ、デジカメを構える。
「 おし、撮るぞ?もっとくっ付け!...ハイチーズ!」
頬を寄せあい自撮りで撮った二人の顔は、例年に無い程くっついていて、一層の笑顔だ。
「ふふ、...やっぱ酷い顔。ねぇ正ちゃん、僕お腹すいちゃった」
「 俺も腹ペコ。...飯食いに行くか。」
「 うん! っ!? 」
正太郎の言葉に笑顔で頷いた巫女都は、あるものを見て驚愕し、漸く浮上した気分は急降下した。
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