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ただいまぁと下から巫女達の声が聞こえて、俺の心臓は尋常じゃねぇほど早音を打つ。
暫く考えたが、黙っていて良い事では無いと結論付けた俺は、巫女に話してきちんと詫びようと思っていた。トントンと階段を昇る音が聞こえて、フッと息を吐くと直ぐに巫女が部屋に入ってきた。
「正ちゃんただいまぁ~。」
「 .....おう。お帰り......」
それだけ言うと目を右往左往させた正ちゃんに僕は盛大にため息を吐く。
「 はぁ~、まだそんな感じなの?...もう、気になるからなんかあるなら言って?」
巫女都の言葉に正太郎は迷い、暫く沈黙が続いたが、意を決してその口を開いた。
「 ごめんっ!!......俺、龍にぃとヤった...。」
「 なにを?」
「.....セックス。酔った勢いでしちまったみたいなんだ!!マジでごめんっ!!!」
勢いよく頭を下げた正太郎を巫女都は目を見開いて見つめている。
様子が可笑しいとは思っていたが、まさか理由がそんな事だとは露程も思っていなかった僕は、正ちゃんの言葉に驚愕してその場に立ち尽くした。
「.......う、うそでしょ....?」
「........ごめん...、マジで悪かったと思ってる......」
正ちゃんのその言葉に、僕は頭の中が真っ白になっちゃって、怒りも悲しみも湧かずただ放心状態で正ちゃんの言葉を聞いていた。
巫女都はくるりと踵を返すとドアを開ける。
「どこ行くんだよ!?」
「 .............帰る。」
背を向けたままそう言った巫女を俺は追う事が出来なかった。どうしたら良いのか分かんなくて考えてっけど、答えがみつかんねぇ。
暫くして琥太郎が部屋に入ってくると、蒼白で佇む正太郎に声を掛けてきた。
「 昼飯出来たってよ。...なんかあったの?酷ぇ顔してっけど...。巫女都も道場行くって凄げぇ勢いで出てったし。喧嘩したのか?」
「 っ!? 巫女帰ったんじゃなかったのかっ!?」
「....いや、道場行くっつってたけど...。」
その事実に驚き慌てた俺は部屋を飛び出した。
道場に通うやつの中には、疚しい気持ちで巫女に組み手の相手を申し出るやつが多くて、だから1人で道場に行く事を俺は付き合う前から禁じてるし、巫女がそれを破った事は今まで一度たりとも無かった。焦燥感に駆られた俺は、足早に道場へ行くとその門を潜った。
バタンッ!!と盛大に畳を叩きつける音がして、
「 次ぃっ!! 」
と巫女都の怒声が聞こえる。中を覗くと、はぁはぁと肩で息をする巫女が、鬼気迫る形相で佇んでいた。
「 巫女っ!! 」
呼び掛けにゆっくりと顔をこっちへ向けた巫女の眼光の鋭さに俺は一瞬たじろいだ。
「 何しにきたの。」
「....っ、...約束破って巫女が1人で道場行ったつーから迎えに来たんだろ!」
感情の読めない声色で聞く巫女に臆しながらもそう言うと、
「 今の正ちゃんに僕の事咎める資格ある?」
巫女の言葉に喉がヒュッと詰まり、言葉を紡ぐ事が出来ねぇ。巫女の言う通りだ。俺にそんな資格はねぇ。
「....道着借りて着替えてきて」
「......いや、俺は...、」
「今すぐ着替えてきてっ!!!」
絶対零度の冷たさを兼ね備えそう言い放った巫女の怒声に俺は固まる。巫女にこんな表情が出来たのかと驚くくらいにその目は俺を軽蔑してて、凍て付く様な鋭すぎるその視線に、俺は巫女の怒りの程を知る。
全部、馬鹿な自分のせいだと今更凄え後悔した。
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