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正太郎と電話をした翌日は、やはり声を聞けば会いたい気持ちで苦しくなると分かりお互い連絡を取り合わなかった。
正太郎の登校予定日の朝も、巫女都は御百度参りをしていて、昨晩連絡が無かった事と、一昨日聞いた正太郎の声が苦し気だったのを受け、万が一再発していたらと思うと居ても立ってもいられなかったからだ。
...正ちゃんが治ってます様に。今日こそ逢えます様にっ!
もう百回目が目前に迫る中、巫女都は俯きながら神社の入り口へととぼとぼと戻っていく。
...正ちゃんに逢えるかな、
考える事はそればかりだった。
「 巫女っ!! 」
自分を呼ぶその声に、巫女都は弾かれた様に顔を上げた。
「 正ちゃんっ!!」
声の主が正太郎と分かると巫女都はその名を呼んで駆け出し、勢いそのままに正太郎に飛び付いた。
「おわっ!?ははっ、 はよ。巫女」
「 おはよ、正ちゃんっ!ん~っ、正ちゃん、逢いたかったよぉ~っ!」
ぎゅうぎゅうしがみつき、身体いっぱいに喜びを表す巫女都を正太郎も殊更きつく抱き締めた。
「 やっぱ実物は良いな!可愛さが違げぇよ。」
その言葉にくすくす笑う巫女都の足が裸足なのに気がつき正太郎は盛大に驚く。
「 おい巫女っ!? なんで裸足なんだよっ!?」
「 ふふ、今日は正ちゃんに逢えるかなと思ったら履き忘れた。」
「...馬鹿かお前は。...ったく俺が居ないとダメだな、巫女は。」
正太郎のその言葉に巫女都は首に回した手に一層力を込めて頷いた。
...御百度参りしてたなんて言ったら心配するから、内緒にしててもいいよね。
巫女都が内心そんな事を思っていると正太郎が指で髪を梳きながら頬に手を添えてくる。
「 顔、良く見して。」
その言葉に徐に顔を上げ、眼を合わせた巫女都は、正太郎の真っ直ぐ自分を見つめる瞳に胸がドキドキと高鳴るのを感じた。
お互い見つめ合い、無言で顔を近づけていくと唇を合わせる。触れ合う唇からお互いへの愛情が溢れだす、そんなキスだった。
「...寂しかったよ正ちゃん」
「...ああ。俺も凄げぇ寂しかった...。離れるのもう、無理そうだから、もしまた流行り病に罹かったら、巫女にも早々に移して一緒に軟禁して貰おうな?」
「 ふふ、そうだね!そうしてもらお!」
2人でくすくす笑うと額を合わせてお互いの存在を確かめる様に見つめ合ってた。
「あんた達~、イチャイチャしてると遅刻するわよ~っ!!」
遠くから琴子の声が聞こえて巫女都と正太郎は顔を見合わせて笑う。
「 行くかっ!」
そう言って、巫女都を抱えたまま歩き始めた正太郎に巫女都は思い出した様に言った。
「 あ!?正ちゃん、足袋と草履!!」
神社入り口の端に置いてあるそれを指差す巫女都に正太郎はジト目を向ける。
「.......あんじゃねぇかよ」
「 うん。あったね。」
「...あったねじゃねぇだろ。じゃなんで裸足なんだよ!!」
そう言いながらも足袋と草履を拾ってくれた正太郎から降りず、巫女都は笑う。
「 んー、裸足だと正ちゃんがダッコしてくれるからかな? さぁ正ちゃん、このまま家までレッツゴー!」
「...はいはい、病み上がりの彼氏酷使するのね...。」
その言葉を聞いた途端、不安げな顔をする巫女都に正太郎は苦笑した。
「 嘘だよ、嘘っ!...んな顔すんなよ。」
「...なんだ、びっくりしたぁ」
安心した様に胸を撫で下ろす巫女都を抱えて正太郎は今度こそ母屋へと歩き出す。触れたお互いの体温の心地好さに、片時も離れて居たくないと2人は思っていた。
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